現在の結婚相談所のシステムでは、持病や過去の病歴をプロフィールに記載するかどうかは任意だ。自ら記載する人もいるが、記載していない人のほうが多い。
また、会員には見えず、相談所側だけが確認できる「特記事項あり」という項目もある。その場合は、仲人が相手の相談所に内容を確認したうえで、会員に伝える。パートナーになる相手の健康状態を気にする人もおり、持病などを知った段階で、会うことを見送るケースもある。
将来の生活を考えれば、不安を覚える気持ちも理解できる。けれども、今健康な人が、この先もずっと健康でいられる保証はない。結婚を考えていた相手が病気になったとき、2人の関係はどうなるのだろうか。
ひさおとみえの間に起きたことは、筆者にも改めてその問いを突きつけた。
初めて好きになった女性が…
ひさおが筆者の相談所を訪ねてきたのは、47歳のときだった。
理系の大学を卒業し、社会に出てからは仕事に打ち込んできた。20代、30代は目の前の業務をこなすことで精いっぱい。恋愛経験のないまま、気がつけば30代後半になっていた。
その頃、勤め先に転職してきたのが、当時33歳のまみ(仮名)だった。仕事にひたむきで、周りから頼まれごとをされても、嫌な顔をせずに請け負う。ひさおはそんな彼女に惹かれていった。生まれて初めての恋だった。
「そろそろ結婚もしたい」。そう考えていたひさおは、勇気を出してまみを食事に誘った。女性と1対1の初めてのデート。それは今までに経験したことのない楽しい時間だった。そして、また食事に誘った。2人で出かけたのは、2度ほどだった。
ひさおは次は映画に誘おうと決めていたのだが、その矢先にまみから告げられた。「誘ってくださるのはうれしいのですが、私、結婚を約束している恋人がいるんです」。
ひさおの恋は、気持ちを伝える前にあっけなく終わった。


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