政界関係者の間では「定数削減という“時限爆弾”を破裂させずに済んだことで、高市政権も当面の危機を回避し、内閣の高支持率維持にもつながる」(閣僚経験者)との見方が広がる。
ただ、今回の自維国3党合意の舞台裏では「それぞれの政治的思惑が複雑に交錯していたことは否定できない」(同)。それだけに今後、政策決定や来春の統一地方選への対応などで新たな難題が浮上すれば、3党連携はすぐ崩壊しかねないというのが実情だ。
3党合意を手繰り寄せた“密使”の存在
そもそも、議員定数の削減は「国会運営上、議会の構成に関わるので、行政府が関与すべきテーマではない」(衆院事務局)のが前提。そのため、高市首相も国会論戦で「議会がお決めになること」と交わし続けてきた。
ただ、多くの世論調査で「定数削減は必要」との声が多数派だったことも踏まえて、各党は10月末をタイムリミットとし、協議を進めてきた。そこで、自民党執行部の意向を踏まえて密かに事態打開に動いたのが、自民党の実務者を代表する衆議院選挙制度協議会座長の鈴木馨祐元法相(衆院議員)だった。
22日の与野党協議で同氏が新たに提起した妥協案は「2030年の人口が15年比で6.7%減少するとの推計を踏まえ、比例選の定数を31削減する」というもの。
具体的には、①比例代表の議席配分方式を現行の「ドント式」から、少数政党に議席が配分されやすくなる「修正サンラグ式」に変更、②比例選での復活当選に必要な小選挙区での最低得票率を有効投票総数の「10分の1」から「6分の1」に引き上げ、③比例選の中国、四国両ブロックの統合、④比例選での複数政党の公認候補一本化が可能な「統一名簿方式」の導入、など。国民民主党だけでなく、各党の主張を「可能な限り踏まえた内容」(鈴木氏周辺)だった。
自維両党が先の特別国会に提出した定数削減法案は「与野党協議で1年以内に結論が出ない場合、比例代表45議席を自動的に減らす」という内容。ただ、全野党が反対しているため、「参院否決を受けた衆院での再議決しか方法がない。衆院再議決は数の上では可能だが、国会運営への影響を考えると現実的ではない」(自民党執行部)というのが実情だった。
28日の与野党協議では、鈴木氏の妥協案について各党が賛否を表明したが、維新と国民民主が党内調整を経て、同案の実現に向けて検討を進めていくことに賛成。一気に局面打開が図られた格好だ。


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