「MAX CAMP」は平和島駅から見ると、北に少し歩いた場所にある。店は東西に走る八幡通りに面している。この通りを東に向かって歩くと、すぐに第一京浜にぶつかる。そこから枝分かれするように「美原通り」が始まる。これが旧東海道だ。
美原通りで老舗の御菓子処「大黒屋(東京都大田区大森本町2-31-9)」を営む池田栄彦さんに話を聞くことができた。大黒屋は大正8年(1919年)の創業だ。池田さんで4代目になる。
平和島界隈はかつて海苔の街だった。その歴史を伝えるのが店いちばんの人気商品「のり大福」だ。自家製のこしあんを包む餅には、四万十川産の青のりを搗(つ)きこんでいる。
都心から近いのに家賃が抑え目な理由
「平和島駅のまわり、住所で言うと大森ですね。このあたりは、もともと海の町だったんです。昔は海苔の養殖が盛んで、今でも海苔問屋さんがたくさん残っています。その歴史を伝えようと、私の父が考案したのがのり大福です。いろいろと試行錯誤した結果、四万十川の青のりに行き着き、それを使った大福が誕生しました」(池田さん)
池田さんに街のことを聞いているうちに、都心から近いのに家賃が抑え目な理由、というかヒントになりそうな話題が出た。
「旧街道沿いのこのあたりは、江戸時代から住んでいる人がたくさんいます。そういう人たちの中には大きな土地を持っている地主さんも多いんですね。そうした地元密着の地主さんには、商売っ気のない人がわりといるんです。楽しく暮らしてくれるなら家賃は抑え目でいいよ、みたいな人たちですね。そんな雰囲気があって、ここら一帯は都心に近いけど、家賃もリーズナブルなのかもしれない」(池田さん)
ただ最近では新築のマンションも増え、都心の不動産会社もどんどん進出しているという。
「だから今後はもう少し家賃も高くなってくるでしょうね。でも、今のところは大丈夫。第一京浜から少し中に入れば静かな街並みが広がっているし、保育園や幼稚園も豊富だから子育てにも便利です。まさに住むとちょっといい街ですよ」(池田さん)
競艇と倉庫の街だと思っていた平和島。ところが歩いてみると、都心とは思えない本格的なキャンプ場があり、旧東海道には海苔の街の歴史が息づき、家賃が抑え目な理由にも昔ながらの人間関係が隠れていた。品川からわずか6分。平和島の正体は、都会の便利さと下町の暮らしやすさを併せ持つ、意外な住宅街だった。


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