これらの声が正しいかどうかは、ここでは問わない。注目したいのは、この2件では、その常識が「普通であること」や「多数派であること」をどうやって確かめたのかが書かれていないことだ。
もちろん、擁護する側にも同じことが言える。「娘が気にしないなら問題ない」という見立ては、当の子ども本人の気持ちについては語れても、周囲の保護者や子どもたちがどう受け止めるかまでは保証しない。「自分の周りでは普通」が、そのまま「どこでも普通」になるとは限らないからだ。
「入れ墨(タトゥー)のある人」の入浴を断っているのは約56%
同じタトゥーでも、場所によって受け止められ方が変わる。
少し古いデータになるが、観光庁が15年に公表した調査によると、宿泊施設のうち、入れ墨(タトゥー)のある人の入浴を断っているのは約56%。一方、約31%は断らず、約13%はシールで隠すなどの条件つきで認めていた(回答した581施設)。
同じ「入れ墨」でも、入浴を断る施設もあれば、認める施設もある。観光庁は、日本では入れ墨が暴力団と結びつけて受け止められてきたため、旅館が入浴を断ってきた経緯があると説明している。
ただし、旅館や温泉は、「入浴をお断りします」「シールで隠してください」と、施設ごとにルールを決めて伝えることができる。決める主体がはっきりしている。
しかし運動会は違う。先に見たとおり、少なくとも2つの教育委員会は、保護者のタトゥーについて明確な方針を示していない。誰かが「隠してください」と決めたわけでもなければ、「隠さなくてよい」と決めたわけでもない。


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