まずは、道東の釧網本線を走った急行「しれとこ」だ。この列車は北見・網走―釧路間が主な運行区間だったが、途中の標茶で分岐する標津線(1989年廃止)の根室標津行きを連結していた。
筆者が実際に乗車した列車では、釧路発の5両編成のうち前寄りのキハ56系2両が網走行き、キハ22形の1両が途中の斜里止まり、後ろのキハ22形2両が標茶から標津線に入る根室標津行という編成だった。キハ22形は本来ならば普通列車仕様の気動車だが、いわゆる客車タイプのボックスシートを備えていたため、道内の支線の急行にも多く使われていた。「しれとこ」は86年に廃止された。
「札幌発札幌行き」の急行列車
かつては、始発駅を出て再び同じ駅に戻ってくる「循環列車」と呼ばれる運行形態の列車もあった。その1つが、札幌発札幌行きの急行「いぶり」である。「いぶり」は、函館本線・胆振線(86年廃止)・室蘭本線・千歳線を経由してぐるっと1周する列車だった。時計回りと反時計回りの両方があり、そしてこの列車は複雑な「多層建て」でもあった。

