最初は介護について抵抗感が強かった川治さんも、実際に働くうちに仕事の意味が変わっていったという。
「障害者介護の仕事は、前職のパーソナルトレーナーによく似ていると思いました。たとえば、利用者さんに『買い物に行けるようになりたい』という大きな目標があるとします。すぐには叶わないけれど、その目標のために小さな目標を設定していくんです。食事や排せつの介助も、目標達成のための手段でしかないと思えるようになりました」(川治さん)
「マッチョは介護に向いていると思います。毎日つらいトレーニングをして、同じ食事を摂って、コツコツ身体を作っていく地道な作業ができるからこそ、利用者さんにも向き合えるんです」(立見さん)
「ただのエンタメ集団」で終わらないために
「最近では、海外からも取材に来ていただくようになりました。しかし、ただのエンタメ集団だと思われたくはない。『プロの介護集団として、あいつらすげえな』って言われなくちゃダメなんです」(丹羽さん)
マッチョ介護を始める以前、ビジョナリーに入社するのは年に2、3人程度だった。しかし現在では年間1800人を超える応募があり、そのうち200人程度を採用している。介護事業所のうち、65.8%が従業員の不足を感じている(令和7年度介護労働実態調査)なかで、異例の数字だ。
一方で、介護職は2040年までに約57万人の増員が必要だと想定されている(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
ビジョナリーでは、敢えてコミュニケーションが難しく、自傷・他害行動のある方を中心に受け入れている。自閉症など、脳神経系に障害がある方は、本人の特性に合わせた環境調整、安全確保に細心の注意が必要で、職員配置上受け入れられない施設も多い。
他の施設では支援できない難しいケースを積極的に受け入れることは、プロフェッショナルであることの証明にもなると、丹羽さんは語る。
「専門知識のある職員がいないから対応できないというけれど、相手は人間です。なんの理由もなく突然暴れだすわけじゃありません。何が原因なのかを知って、その方に合った環境整備をしていけば、穏やかに過ごすことができるんです」


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