10月12日、スウェーデン王立科学アカデミーは2026年のノーベル経済学賞を、米スタンフォード大学のロバート・ホール教授(83)と、米コロンビア大学のマイケル・ウッドフォード教授(70)に授与すると発表した。授賞理由は「マクロ経済の安定化に関するミクロ経済学的基礎」への貢献とされた。
両氏の研究は、(「マクロ経済の安定化」を目的として)国が実施する経済政策に対し、個々の国民や企業がどう反応するか(=「ミクロ経済学的基礎」)という視点を組み込む試みだ。それによって主に金融政策が、続いて財政政策も、より効果的な実行が可能となったとして評価された。
不況・失業を回避するため政府が積極的に市場へ介入することを重視するのは、ケインズ経済学の特徴だ。ただし旧来のケインズ経済学のモデルは、人々が明日以降の将来を展望し(フォワードルッキング)、「期待」に応じて今日の行動を決めるという前提を取りこぼしていた。
その前提をモデルに取り入れてケインズ経済学を進化させ、従来に比して現実に近い形で経済を分析・予測しようとするのが「ニューケインジアン」と呼ばれる学派だ。受賞が決まった2人はこの学派に属する。
発想の転換で消費の常識を覆したホール氏
時系列ではホール氏の研究が早い。彼は、1970〜80年代に経済の重要な構成要素である「消費」の捉え方を革新した。授賞理由に挙げられた78年の論文では「人々が将来を展望しながら消費を決定しているならば、消費の変化は予測できない」ことを示し、当時の常識を覆した。
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