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認知症を引き起こす「ペットボトル飲料」のリスク…亡くなった人の脳から「クレヨン1本分」の微小プラスチックが検出された

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ペットボトル飲料を手に取る人
ペットボトル飲料が、巡り巡って「脳」をむしばんでいるかもしれない(写真:Hakase/PIXTA)
  • 下畑 享良 医学博士/岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野教授
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認知症と診断された人の脳でマイクロ・ナノプラスチックが多く検出された

では、なぜナノプラスチックは脳に多くたまるのでしょうか。脳には、「血液脳関門」と呼ばれる強固なバリアがあります。有害な物質が血液から脳へ入り込むのを防ぎ、神経細胞を守るしくみです。ところが、動物や細胞を使った研究では、ごく小さなナノプラスチックは、このバリアを通過する可能性が示されています。

さらに、脳は油のような成分である脂質を多く含む臓器です。プラスチックの種類によっては脂質となじみやすい性質があるため、脳の脂質の多さが、ナノプラスチックの取り込まれやすさや排出されにくさに関係しているのではないかと考える研究者もいます。ただし、これはまだ推測の段階であり、脳に多く蓄積する詳しいしくみはわかっていません。

また、もっと気になる結果も示されました。認知症と診断されていたヒトの脳では、認知症と診断されていなかった人の脳よりマイクロ・ナノプラスチックが多く検出されたのです。 ただし、これは両者の「関連」を示したにすぎません。

プラスチックの蓄積が認知症の発症や進行に関わっているのか、それとも認知症になった脳がプラスチックをため込みやすくなるのかは、現時点ではわかっていません。 両者を結びつけるしくみについて、いくつかの仮説が示されています。代表的なものとして、ナノプラスチックの粒子が、アミロイドベータや、パーキンソン病などで蓄積するアルファ・シヌクレインといったタンパク質が固まり始める際の「足場」になる可能性が指摘されています。

一粒のナノプラスチックを「核」として、その周囲にタンパク質が集まり、凝集が進む可能性があるのです。こうしたしくみを支持する結果は、すでに動物実験でも報告され始めています。日常生活でプラスチックからの影響を減らすでは、どうすればよいのでしょうか。

「プラスチックをまったく使わない生活」は現代社会に暮らす私たちにとって、現実的には難しいです。私たちにできるのは、すべてを一度に変えようとすることではなく、減らせるところから無理なく減らしていくことではないかと思います。

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たとえば、ナノプラスチックの発生源として知られる次のものに対して、こんな工夫ができます。

●水を飲むときは、使い捨てのペットボトルではなく、ガラス製や金属製のボトルを使用する
●プラスチックを含むティーバッグの使用を減らし、茶葉を急須や茶こしで淹れる
●プラスチック容器にいれた食品を電子レンジで加熱しない。とくに油分の多い食品はガラスや陶器の容器に移してから温める
●食品ラップも化学物質を含まないものを使用する。食品を保存するときは、ラップだけに頼らず、ふた付きのガラス容器なども活用する
●化粧品や洗顔料を選ぶときは、「マイクロビーズ」を含むものを避ける

完璧を目指す必要はありません。気づいたところから、ひとつずつ変えていけばよいのだと思います。こうした取り組みは、長期的に認知症のリスクを減らすことにつながる可能性があります。無理のない範囲で、継続していくことが大切です。

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