親が毎朝服を用意していれば、「自分が汚した一着」や「全身ピンクというセットアップ」は生まれなかったかもしれない。親が服を準備する手間を手放したことで、かえって子ども自身が「何を着たいか」を選ぶ余地が生まれていた。
全国展開の鍵は、町のクリーニング店
こうした価値をより多くの家庭や保育園へ届けるには、乗り越えなければならない課題がある。それが洗濯と物流である。
現在、「らくらく登園」は主に首都圏で展開しているが、岡山県や東北、北海道などからも利用したいという問い合わせが寄せられている。しかし、現状では断らざるを得ない。
「らくらく登園」は、園から衣類を回収し、洗濯したうえで再び届けるサービスだ。全国へ広げるには、それぞれの地域で洗濯や配送を担う拠点が必要になる。
ところが、地域ごとに自前の拠点を設けようとすれば、機材だけでも何千万円という投資が必要になる。さらに、現在の工場や倉庫もキャパシティーの限界が見え始めているという。
そこで関原さんが考えているのが、町のクリーニング店との連携だ。
「町のクリーニング屋さんって、どんどん廃業になっているんですよ。つまり、機材はあるんだけど、洗うものが欲しいという状態で」
すでに設備を持つ地域の店舗と組めば、その設備を「らくらく登園」の洗濯拠点として活用できる。関原さんは、今後数年をかけて、フランチャイズに近い形で全国へ展開できる仕組みをつくりたいと考えている。
ナカラルが全国へ広がれば、これまで一部の地域に限られていた「着替えを家庭から持っていかない」という選択肢も、より多くの家庭や保育園に届くことになる。
共働き世帯が増え、仕事と育児を両立する家庭にとって、毎日の着替えの準備や洗濯は決して小さな負担ではない。「らくらく登園」が減らそうとしているのは、育児そのものではなく、そうした日々の作業だ。
限られた時間のなかで、子どもと向き合うために何を大切にするのか。「らくらく登園」が投げかけているのは、そんな問いなのかもしれない。


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