しかし現在は少し事情が違う。物価高騰による節約マインドの高まりとともに、弁当は外食ほど高くはなく、自炊ほど手間がかからない、非常に利便性の高い商品であるという認識が広がっている。中食は、物価高の時代にむしろ合理性が高まっている存在なのだ。
おかずの品数や見た目の華やかさよりも、必要な食事を手頃な価格で確保できることを重視する。今そうした需要に応えているのが、300円前後の激安弁当だ。普段の昼食は安く済ませる一方、休日には少し高い弁当や外食を楽しむ。消費者が場面に応じて支出を使い分ける、いわゆる「消費の二極化」「メリハリ消費」のトレンドとも重なる。
節約と贅沢は必ずしも相反するものではなく、同じ消費者の中で共存している。ローソンも低価格の「一点突破すぎ!」シリーズだけでなく、税込797円の「海鮮づくしペスカトーレ」など、高価格帯の「贅沢すぎ!」シリーズも展開し、メリハリ消費の需要に対応した。
激安弁当は“客寄せパンダ”
スーパーやコンビニにとって、いくら具材をシンプルにしたとはいえ、弁当の販売価格を下げれば利益を確保するのは難しくなる。原材料費に加え、容器代、物流費、人件費、光熱費などがかかるからだ。コスト上昇が続く現在、低価格を維持するには食材以外のコストに対しても工夫が欠かせない。
ここで重要なのが、弁当単品の利益だけでなく、店舗全体の売り上げで考える視点だ。例えば、300円の弁当を目当てに来店したお客様が、飲料やデザート、別の惣菜なども購入すれば、店舗全体での売り上げにつながる。スーパーなら、生鮮食品や日用品を一緒に購入することもあるだろう。つまり激安弁当は、単に利益を稼ぐ商品ではなく、来店動機を生み出す商品にもなり得るということだ。
もう一つの役割は、店全体の価格イメージを形成することだ。299円や297円といった分かりやすい価格の商品があれば、「この店には安いものがある」という印象を持ってもらいやすい。すべての商品を最安値にすることはできなくても、目玉商品によって店の価格競争力を伝えることはできる。
激安弁当は、価格そのものに加え、集客や販売促進の面でも意味を持つ商品なのである。


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