そもそも弁当は、多くの食材で構成されている商品だ。肉や魚などの主菜に、野菜、卵、漬物、副菜などを組み合わせ、彩りや栄養バランス、ボリューム感も商品の価値だった。そして、容器の中に複数のおかずを詰めるため、食材の種類も増え、調理工程も複雑になる。
その一つひとつの食材の価格が上がることで、原材料費はどんどん積み上がって高騰していく。それでいて、特別な時に食べる仕出し弁当や、旅行の時に食べる駅弁などと違い、日常の食事として利用されるスーパーやコンビニの弁当は、そこまで高い価格では売ることができない。
約5年前に初登場して人気を博した“激安弁当”
そこで注目されるのが、弁当の構成そのものを見直す「引き算」の発想だ。2021年に登場したローソンストア100の「だけ弁当」の第1弾は、具材はウインナー5本だけで、価格は税込216円だった(当時)。
「弁当には色とりどりのおかずが入っている」という前提や常識を逆手に取り、あえておかずを1種類に限定した商品である。商品化までには10年を要したというが、発売後にSNSなどで話題となり、2024年1月末にはシリーズ累計販売数が500万食を突破する人気商品となったのだ。
この商品が画期的だったのは、価格の安さだけではない。「弁当には何種類ものおかずが必要」という商品設計そのものを見直したことだ。いわば「弁当の再定義」だ。
おかずを減らせば、必要な食材も減る。食材の調達、調理、盛り付け、在庫管理などの工程もシンプルになるだろう。そして廃棄リスクについても、複数の食材を少量ずつ抱えるより管理しやすくなるはずだ。結果として価格も安く抑えられる。店にとっても消費者にとってもWin-Winな商品と言えるだろう。
そして、消費者の弁当に対する価値観や役割の変化も、この激安弁当を受け入れる土壌になっている。かつて安い弁当には、「安かろう悪かろう」というイメージがつきまとった。おかずが少なければ、「物足りない」「貧相」と見られがちだった。


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