「イオンタウン旭」がオープンした際、官民連携の新たな取り組みをしている施設として注目され、筆者も「見に行ってみたい」と強い関心を抱いていた。その陰にある「サンモール」の存在はまだ知らなかった。
商業拠点の移動ではなく分散
かつて「サンモール」が誕生したことで、旭市の商業の中心地はJR旭駅前から国道126号沿いに移動した。そして「イオンタウン旭」の出現によって、今度は市が進める「みらいあさひ」エリアに分散しつつある。
徒歩圏内に病院があり、買い物もでき、公共の交流施設も備える「みらいあさひ」の取り組みは、高齢化が進む現代において注目される事例だろう。だが「イオンタウン旭」のほかは店舗が少なく、大部分は田畑が広がる。国道エリアと比べると、かなりのどかな印象を受ける。
周辺の田畑は開発の余地が残されていると解釈できるものの、現時点では一大拠点になっているようには見えない。「イオンタウン旭」は区画が埋まらないままオープンし、4年以上が経ったいまも5区画が空いている。
人口が減り続ける地方都市で、限られた商業需要を複数の拠点で分け合えば、どの拠点も厚みを失いかねない。旭市で起きているのは、商業の中心の「移動」というより、「分散」による希薄化のように映る。
「サンモール」は築年数が古く動線にも課題があるが、国道沿いで駐車場も広く、現代の消費行動に対応している。他の都市で見られるような、車社会に対応できない駅前立地ではない。「みらいあさひ」は単なる商業拠点ではないと承知しているものの、地元企業が築いた地域の核を生かす道はなかったのか――と感じてしまう。
新たな拠点をつくるだけでなく、すでにある核をどう生かすか。人口減少が進む地方都市には、その視点こそが求められるのではないだろうか。


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