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「日本は遅れていると悲観する必要はない」経営学の権威・野中郁次郎が"最後の対談"で語った《世界に誇れる日本の企業》

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「3つの過剰」に陥った日本企業が、本来の強みを取り戻すには?(写真:Hanna / PIXTA)
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危機感の背景には、少年時代の戦争体験がありました。とりわけ疎開先で遭遇した艦上戦闘機グラマンの機銃掃射から、間一髪で逃げたのは鮮烈な記憶として残っています。そのときにパイロットと目が合い、にやりと笑っているように見えた。「いつか必ずアメリカに勝つ」と心に刻んだことが、のちに経営学を学ぶ際にも頭にありました。

ですから私の学問のバックには、直接経験があるわけです。この身体でもって全身全霊で感じてきた経験があるから、SECIモデルでも、分析ではなくまずは共感から入る。そういうものがない学者、直接経験や身体性を重んじない経営学者の理論は、空虚に聞こえますね。

リーダーは分析だけではダメ

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岩尾 本当にそうだと思います。私の直接経験は、自衛隊と起業でしょうか。私は佐賀県にある岩尾磁器工業の創業家一族に生まれ、子どものころは比較的裕福な暮らしをしていました。ところが父が新会社を起業し、倒産させたことで人生が一変します。

生活が逼迫し、「大学に行きたければ自分で学費を貯めろ」と言われ、中学校を卒業後、自衛隊に入って働きながら勉強を続けました。そのお金で慶應義塾大学に進学できたのですが、2年目以降の学費を稼ぐため、在学中に起業したんですね。その後、東京大学大学院時代に会社として登記し、幸いいまも続いています。

自分で経営してわかったのは、分析だけではダメだということ。リーダーがみんなで幸せになる道筋を示して、はじめて人はついてきてくれる。それでも、すべてがうまくいくわけではありません。ちょっとでも給料を上げられない時期があると、「噓つき!」などと言われてしまう。「なんでわかってくれないんだろう」と苦悩しながら、よりよい方法を模索する。経営には、その葛藤こそが大事だと思うようになりました。

野中 いやあ、そうですか。苦労なさってきましたね。私も途中から戦争研究を始めてしまうなど、ちょっとふつうの経営学者とは違うところがあるけれど。

岩尾 私は元自衛官ですから、先生とはいろんな共通点がありますね。

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