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昔からの商店街、昭和の趣を残す家屋、狭く入り組んだ路地……さまざまな再開発が進む東京だが、中には再開発されないままの街もある。
タワマンや高層オフィス、大きな商業施設が生まれない街には、どんな理由があるのか――。ライター・坪川うたさんが、緻密なリサーチとフィールドワークで送る連載。第12回は「久が原」を取り上げる。
東急池上線の通る大田区の久が原。駅前には低層の商店が軒を連ね、周辺には整然とした区画の閑静な住宅地が広がる街である。
久が原駅前から伸びる「ライラック通り久が原」商店街(写真:筆者撮影)
真っすぐな道に、敷地にゆとりのある戸建てが並ぶ(写真:筆者撮影)
久が原はなぜ再開発されないのだろうか。
交通と防災の観点
まず、交通拠点性の低さが挙げられる。
東京23区で再開発されている街の多くは、交通結節点だ。複数路線の乗り換え駅やバス路線が集まる駅には、毎日大量の人が流れ込み、商業施設の需要を生む。そして混雑の解消という公共的な目的が、駅前広場の整備を正当化する。
しかし、久が原駅は東急池上線しか通っていない。駅を使うのは、ほぼ周辺に住む人に限られる。駅前に幹線道路が通っているわけでもない。
久が原駅付近の街並み(写真:筆者撮影)
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