本書で著者のウィリアム・フォン・ヒッペル氏は、現代社会はつながりよりも自主性を高める方向に向かっていると指摘していますが、以前から私は「SNSのおかげで恋愛が下火になっている」と考えていました。
80年代、90年代の若者は、今よりもずっと寂しい思いをしていました。コミュニケーションの手段は手紙か、電話か、実際に会うかしかなかったので、夜1人で部屋にいると、「もしかしたら自分はずっと1人ぼっちなのではないか」と感じることもありました。
また、当時の人々は周囲の目を強く意識していたので、「彼氏や彼女がいないと格好悪くて恥ずかしい」という意識もありましたし、「早く結婚しろ」という周りからのプレッシャーもありました。
しかし、今の社会ではインターネットを通していつでも誰とでもつながれるし、ネットの世界には情報が溢れており、その情報を得るコストも低く、以前ほど寂しさを感じなくなっているわけです。多様性が尊重されるようにもなり、独身であることに引け目を感じることはありません。
また、都市化が進み、経済的にも男女それぞれが自立して生活できるようになった結果、恋愛し、結婚する必要性はかつてよりもずっと薄くなっているはずです。
SNSやスマホが変えたもの
SNSを使えばいつでも誰とでも一緒にいられる一方、1人になりたいときはただログオフすればいいという環境を生きる現代人は、かつてよりもつながりと自主性という2つの欲求のバランスを取りやすい状況にあるといえるでしょう。
SNSのない時代では、学校で友だちが誰もいないと寂しくて、居心地の悪いものでしたが、今ではLINEでつながっている友だちがいれば、それほど不安や不満を感じません。
YouTubeやSNSで活動している人たちからすれば、むしろオンラインのヴァーチャルな世界のほうがリアルな感じがして、ログオフしたあとの現実世界を生きる自分のほうが、「仮初めの姿」だとすら感じられるのかもしれません。
そう考えると、SNSやスマホは、人類が太古の昔から抱えてきた、つながりと自主性の葛藤を解決すべく発達したのかもしれませんね。


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