清野:私が生きてきた中で最もつらかったのは、コロナ禍のロックダウンで学校が閉鎖された時期でした。感染防止のため、友達や先生との繋がりが一切断ち切られた時、強烈な孤独を感じ、「もう生きていく術がない」というところまで追い込まれました。
人間は社会的な生き物です。経済的な支援だけでなく、いかに子どもたちが社会と自然に繋がれる場所を用意してあげるか。それが大人にできる最も重要な支援の形ではないかと感じています。
イギリスSNS禁止の波と「サードプレイス」の復活
ブレイディ: まさにそれは「サードプレイス(第三の居場所)」の重要性ですね。大人はよく「家庭でも職場でもないサードプレイスが必要だ」と話しますが、子どもにこそ「家庭でも学校でもない場」が必要なんです。
イギリスでは来年の春から、16歳未満のSNS利用禁止が実施される見込みです。今までスマホやタブレットを渡しておけば遊んでくれていたのに、「じゃあスマホを取り上げられた子どもたちをどうやって遊ばせたらいいの」と大人たちは焦っています。イギリスはこの十数年、緊縮財政で地方自治体のユースセンター(ティーン向けの児童館のような施設)の予算を真っ先に削り、次々と閉鎖させてしまいました。
しかし、かつてのユースセンターは、人種や階級、通っている学校が違っても、同じ地域に住んでいるティーンが集まり、一緒にサッカーをしたりラップコンテストを開いたりして交ざり合う場所だったんです。そこでは、地域の大学生が中高生の宿題を見る会のようなものも自然と立ち上がり、ティーンが年上の大学生に「どうやったら大学に行けるの?」「どんな奨学金があるの?」と相談できる自然なメンター関係も生まれていました。
今、そうした子どもたちのサードプレイスをもう一度復活させなければならないとイギリスでは盛んに議論されています。日本にも、地域の10代の子たちがフラッと集まって、お金がなくても遊べるようなユースセンターがたくさんあればいいですよね。
清野:日本でも、昭和のノスタルジーとして語られるような子どもたちの自由な遊び場は明らかに減っています。地方では少子化で遊び相手がいませんし、都市部では小学生同士でも、「放課後に遊ぼう」と誘ったら「塾に行くから」と断られるケースが非常に多いそうです。親が「あんな子どもと遊んだら頭が悪くなる」とパターナリスティックな理由で友人関係を制限してしまうこともあるみたいです。


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