以前から維新は「衆院の選挙制度改革なので、衆院の決定が優先されるべきだ」と主張している。これに対して、多くの自民党幹部は「数を頼んだ衆院での再議決は、野党だけでなく、国民の理解も得られない」(閣僚経験者)と首を傾げる。
そうした状況も踏まえて、懸案とされてきた現行の衆院選挙制度の見直しについて、与野党はすでに、10月末までに結論を出すことで合意している。その際、与党は定数削減も議論するよう求めているが、野党は応じない方針。野党各党の衆参両院の国対委員長は2日の国会内での会談で、比例代表45議席を削減する与党提出法案の成立阻止を改めて確認した。
報告書の「10月末結論」は“玉虫色”
議員定数削減をめぐる与野党協議を振り返ると、9月30日の衆院選挙制度協議会で、当面の結論を出す期限を当初の「9月末」から「10月末をメド」に延期。その際、野党筆頭幹事を務める公明党の中野洋昌衆院議員は記者団に対し、「次期衆院選は抜本改革をしたうえで臨んでいくという、大きなタイムラインを引いた」と説明した。
協議会がこの日まとめた報告書を見ると、まず10月末をメドに「現行制度の見直し」案をまとめ、「抜本改革」については有識者による第三者機関を設けて1年以内をメドに答申を得るとの内容。要するに「与野党双方に配慮した“玉虫色”の報告書」だ。
もともと野党各党は「定数削減は抜本改革の中で論ずるべきだ」と主張しており、中野氏の「大きなタイムライン」発言の背景には、定数削減関連法案の審議を急ぐ維新を、自民党の「消費税減税法案の処理を優先したい」という“本音”にも沿う形で牽制する狙いもにじんでいた。
それでも、維新は定数削減関連法案の早期成立を求める立場を崩していない。藤田文武共同代表は9月30日の記者会見で、「法案成立後も与野党協議の猶予期間を設けるため、抜本改革の議論と両立できる」と説明したうえで、「消費税論議は議員定数とまったく関係ない」と強調した。
臨時国会の会期末は12月12日。議員定数削減関連法案の処理のための会期延長という選択肢もあるが、年末には与党税制改正大綱の取りまとめや2027年度予算案編成など、政権にとっての重要日程もある。自民党執行部は「会期延長は困難」との立場だ。
その一方で、閣内入りした維新にとって、「看板政策」として掲げる議員定数削減が3国会連続の実現見送りとなれば、同党内で自民党への不信感が高まることは確実。両党幹部の対応次第では、連立維持という「大前提」が崩壊しかねない危機的事態ともなる。
繰り返しになるが、高市首相にとって「維新との連立が政権維持の“命綱”」(官邸筋)。衆院選での自民党の歴史的大勝を受けて、自民党内には「もはや維新は政権のお邪魔虫」(有力幹部)との声が少なくないが、「なお高支持率を維持する高市首相への忖度(そんたく)で、維新との連立を受け入れている」(同)のが実態とみられている。
ただ、来秋の自民党総裁選での再選を狙う高市首相にとって「維新との連立が再選への障害となった場合の対応は、極めて難しい」(側近)のは事実。それだけに、臨時国会における自民党と維新の水面下での駆け引きとその結末次第では、高市首相も「年末の段階で“重大決断”を迫られる」(自民党長老)ことになりそうだ。


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