滑走路で待機していたサウジアラビアの治安当局が機内に踏み込み、ヤニヴ氏らによって拘束されていたオマーン国籍の副操縦士の身柄を確保・逮捕した。
重傷を負ったスミット機長は、待機していた救急隊により直ちに地元の病院へ搬送され、救命手術を受けた。現在、機長の容態は安定しており、命に別条はないという。
副操縦士に関しては、顔も名前も年齢も明かされていない。サウジアラビアやUAEの捜査当局が公表していないためだ。わかっているのは、事件の約9カ月前にフライドバイへ入社したオマーン人という情報のみである。
犯行動機も不明のままである。イスラエル政府は「ジハーディストによるテロ・自爆攻撃未遂」と断定している。オマーンとイスラエルは正式な外交関係がない。機体を急降下させる際「アッラーフ・アクバル」(神は偉大なり)と叫んでいたとの乗客証言があり、大規模な墜落テロを図ったとみられている。今後、副操縦士の身柄はUAEに移されるという情報もある。
「フライトレーダー24」というサイトがある。そこには民間航空機の現在位置が表示され、特定の便名を検索すれば過去の航跡を示してくれる。このサイトで確認すると、同機はサウジからヨルダンの国境にさしかかる手前で大きく軌道を外れていることがわかる。ここが、副操縦士が一気に高度を下げたポイントである。
もし仮に、副操縦士が9.11のようなテロを企て、地上の建造物をターゲットとしていたならば、狙うのはイスラエル国内だろう。そうなると、急降下したポイントが少しイスラエルから遠いように感じる。
容疑者はイスラエルへの突入を考えていた?
そこで考えられるのは、着陸の1時間前、高度を下げる段階に入る前に機長の手から操縦桿を奪おうと計画していた。事前にコックピットを制圧できれば、あとはイスラエルの領空に入って静かに狙いを定めて墜落させることができる。
しかし機長の想像以上の抵抗に遭ったため、計画を変更してすぐに墜落させることにした。地上のイスラエルへの攻撃はあきらめ、乗客だけをターゲットにした――。これは1つの仮説に過ぎない。真相は今後の捜査を待つことになる。
ネタニヤフ首相は「これはまさに仮庵(かりいお)祭の奇跡だ」と表現した。仮庵祭とは、ユダヤ教の三大祭りの1つで、出エジプト後の荒野での仮住まいと収穫を記念する祭りだ。この日は仮庵祭の5日目だった。
23年10月7日、スィムハット・トーラーというユダヤ教の祭りを狙ったテロからガザ地区での戦争が始まった。今回も、仮庵祭を悲劇に変える目論見だったのかもしれない。しかし勇気と行動力のあるイスラエル人がその企てを挫き、いくつもの奇跡が重なって全員が生還できた。
本稿執筆時の10月5日現在、副操縦士への取り調べにより、次のような情報が判明しつつある。


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