(このひとに5つの質問)馬雲 アリババ・グループ(阿里巴巴集団)CEO

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(このひとに5つの質問)馬雲 アリババ・グループ(阿里巴巴集団)CEO

大型上場で注目された中国の電子商取引企業アリババ・ドットコムが、ソフトバンクと合弁で日本事業を本格化する。同社を核とするアリババ・グループの戦略を馬CEOに聞いた。
(『週刊東洋経済』1月19日号より)

1 アリババ・ドットコムは香港上場で1900億円を調達、ネット企業としては米グーグル以後で世界最大規模の新規株式公開でした。

 結果は予想以上で非常に満足している。アリババは設立から9年とまだ若い企業だが、ITバブル崩壊を経た経験を踏まえ、(市場環境のよい)今が上場する時期だと判断した。10年以内に世界のネット企業上位3社のうち1社は中国企業になると予想しているが、そこに残るため資金、人材、技術の備えを始めたところだ。

2 今年から本格始動する日本事業について教えてください。

 中小企業をターゲットに日本国内での企業間取引や海外企業との輸出入の双方を支援する事業を計画している。アリババが提供するのは単なるIT技術ではない。無数にある取引先企業を紹介するのだ。アリババは技術企業であると同時にサービス企業だと自負している。中日間のビジネスは中米間よりも緊密で補完的であるのが自然な姿なのだが、過去数年間は政治的な理由で厳しい状況が続いてきた。だが今後数年間はまた中日経済の黄金期が来ると見ており、その時期に日本市場を舞台にアリババの国際展開を本格的にスタートさせたい。

3 日本事業におけるソフトバンクの役割は。

 同社は日本における全面的なパートナーで、実際に事業の主導権を握るのは孫正義社長だ。アリババ・ジャパンがうまくいかなければ孫社長の責任(笑)。孫社長とは以前から意気投合している。誰もがリスキーだと思う分野にこそチャンスがあり、そこで粘り強くやり遂げるという哲学はわれわれに共通する。

4 アリババ・グループ全体の中期的な経営戦略は。

 グループには(電子決済やポータルサイトなど)ネット関連の7子会社がある。これらの機能をトータルし、中国だけでなくアジア、世界全体を網羅する電子商取引の1大プラットフォームを作り上げる。今回上場したのは企業間取引を手掛ける子会社だが、次に大きく成長するのは個人向けのネット取引事業。将来的には企業向けを上回る規模になると見ている。

5 中国経済は北京五輪後に調整局面に入るとの声があります。

 確かに成長率は若干スローダウンするだろう。が、大きく腰折れする懸念はないと見る。個人の消費力の向上を背景に、中国経済は輸出依存型の急拡大期から内需主導の着実成長の時代を迎える。これまで世界の需要と消費の中心は欧米圏だったが、今後15年程度で中国・インドを中心とするアジア圏に完全にシフトするだろう。その中で台頭するのが民間経済であり、何百万社とある中小企業だ。

(週刊東洋経済:杉本りうこ記者 撮影:尾形文繁)

ま・ゆん
1964年、杭州生まれ。英語教師、ネット企業2社の経営を経て99年にアリババ・ドットコム設立。2005年米ヤフーからヤフー中国を買収。グループ中核のアリババ・ドットコムの06年度売上高は約208億円。

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