ここで、仮の数字を置いてみる。
取得費や売却費用を差し引いた譲渡益が5000万円あるとする。実需で住んでいて3000万円控除を使えるとして、課税対象は2000万円。現行の短期税率39.63%なら、税額は792万6000円となる。
仮に合計税率が80%になり、控除などの条件が同じなら、税額は1600万円。
手元に残るお金は807万4000円減る。
すでに次の家を契約していたら、その人たちはどうするのか。追加資金を用意するのか、借り入れを増やせるのか。契約条件によっては、解除に手付金の放棄などの負担も生じうる。
彼らは「長期になるまで売らなければよい」では済まない。次の家の決済日は、税率が下がる日(長期譲渡になる日)まで待ってくれないからだ。
値上がり益を使う実需は、投機なのか
短期売買の中には、転勤、離婚、介護などで、売却時期を選べないケースもある。居住期間だけで投機と実需を分けようとすれば、こうした事情を取りこぼす可能性もある。
それでも「5000万円も利益が出たのなら、税金を払えばいい」という意見はあるだろう。
確かに、ここ数年の市況で大きな値上がり益を得た所有者は、まだ家を買えていない人より資産面で有利だし、そんなに利益があるなら、という外野の気持ちもわかる。
しかし、買い替えの場合、事情は切実だ。なぜなら、売る家が高くなったのと同時に、次に買う家も高くなっているからだ。
彼らにとって値上がり益の全額は自由に使える余裕資金ではない。次の家を買うための貴重な原資なのだ。資産価値を最優先に、リスクを取って家を買った。狙い通りにその家は値上がりしたので次の家を契約した。そして、おそらく多くの人が、値上がり益にかかる税金の税率が変わることは、想定していない。


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