資産価値を考えて自宅を買うことと、誰も住まない部屋を短期間で転がすことは、同じなのだろうか。
将来売りやすい場所を選び、家族の変化に合わせて住み替える。その際に、自宅の値上がり分を活用する。こうした行動まで投機とひとまとめにして税負担を重くすることがはたして実需のためと言えるのか、私は疑問だ。
ここ数年、マンションの高騰で、住まいを買いたい人が苦しんだ。その対策によって、今度は住み替えたい人が動けなくなることがあるのだとしたら。
実需を守る政策で、実需の人が泣く、そんな制度にはしてほしくない。
「増税」の先に、買いやすくする政策を
一部報道によると、実際に住んでいるかどうか実態を調査する案や、超短期転売のみ(例えば1年以内の転売)を取り締まる案などもあるらしい。自分で住むことは決してなく、明らかに転売目的であるとわかった場合にのみ重課できるのであれば、私が述べたような点は杞憂なのかもしれない。
しかし、そもそも、短期譲渡課税の強化は「増税」である。「転売ヤー対策」という言葉だけで歓迎せず、国民が家を買いやすくなるのかまで考えたい。
例えば、住宅ローン減税の拡充だ。初めて家を買う人や、所得に対する住居費の負担が重い世帯に、支援を厚くする。
住宅価格が少し下がっても、金利負担が増えれば買いにくくなる。逆に、価格が大きく下がらなくても、家計の負担が軽くなれば買える人はいる。問うべきは、「マンション価格が下がった」という数字の評価だけではないはずだ。
「転売ヤーが減りました」の先に、「住みたい人が買えるようになりました」があるのか。
増税を議論するなら、そこまでの道筋を示してほしい。


※ログイン後、コメント入力が可能です。