さて、今回の議論は、この所有期間5年以下の短期保有の税負担をさらに重くし、転売を抑えようというものだ。
私は、住むことも貸すこともなく、転売だけを目的にマンションを持つことを好ましいとは思わない。マンションは、人が住み、コミュニティができて初めて完成するものだ。マンションを愛する者として、空室のまま利益だけを待つような行為には賛同できない。
ただ、そのことと、転売ヤーのせいで価格が高騰した、という話は分けて考えたい。
私は「PIVOT」や「楽待」などのビジネス・経済チャンネルで、何度も専門家に同じ質問をしてきた。
「どうしてマンションは、これだけ高くなっているのですか?」
1つの要因だけを挙げて答えた専門家は、私の記憶にはいない。
資材費の高騰、人件費の上昇、土地の取得競争、国内外の投資需要、そして転売ヤーの存在。説明の仕方は違っても、皆が、これらの要因が重なった結果だと話していた。
値上がりするから転売が増え、転売が増えることで値上がりが加速する。そんな相互作用もあったと思われる。
また、短期売買が増えたという数字だけでは、それが価格をどれだけ押し上げたかまではわからない。転売を抑えることで高騰のどの部分をどれだけ抑えられるのか、これを明確に示す根拠はあるのだろうか。
転売ヤーが法人なら、税率を上げても意味がない
さらに、転売ヤーは個人とは限らない。むしろ法人による転売の影響を指摘する声も多い。
法人の売却益は原則として法人所得に含まれ、個人の短期・長期の2つの税率で分ける仕組みではない。個人の税率を上げるだけなら、その増税は法人に直接及ぶわけではない。
法人による転売を防ぐ仕組みを考えなければ、実効性に欠けるのではないだろうか。


※ログイン後、コメント入力が可能です。