日本の買収ルールは「完全に後退してしまった」
アクティビストとして約四半世紀にわたり日本企業に物を申してきたストラテジックキャピタルの丸木強代表。日本の資本市場にコーポレートガバナンスが浸透してきたことは認めるが、経産省が今般公表したポイントとQ&Aは「とにかくひどい内容」だとして、厳しく批判する。
――経産省が公表した「企業買収における行動指針」のポイントとQ&A(以下、「明確化」)を見た率直な感想を聞かせてください。
パブリックコメントでも表明しているが、一言で言えばとにかくひどい内容だ。日本でもようやく企業買収をめぐるさまざまな制度が整ってきたのに、一気に後退してしまったかのような印象だ。
今回の「明確化」の最大の問題は、「取締役は最も高い価格の買収提案に賛成しなくても、善管注意義務違反に問われることはない」という点にある。これでは、「法的な責任を問われることはないから、たとえ高値の提案であっても安心して反対しろ」というメッセージとして受け取られてしまう。
そもそも買収に応募する株主は、対象会社の株式価値の最大化、つまり最も高値の提案を望むはずだ。もし対象会社の取締役が買収提案に反対するのであれば、企業価値の向上策を策定して、買収価格以上に企業価値を向上させればいいはずだ。それによって株価が買収価格を上回れば、買収は不成立になる。
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