規模の縮小はインドネシアの市場の動きを反映しているといえる。2017年の初回開催時には、各地で鉄道建設ラッシュであり、高速鉄道、MRT、LRTといった国内事業者が多数出展し、会場は関係者であふれていた。だが、今年、鉄道事業者の出展はついにKAIの1社に、しかも出展内容は鉄道インフラ本体ではなく、IT部門のオンラインチケッティングサービスに関するものだった。
ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)前政権は、鉄道や高速道路など、破竹の勢いでインフラ整備を進めてきた。しかし、2024年に始まったプラボウォ・スビアント現政権は、これらの予算を大幅に削減して無償給食に振り分けるなど、ジョコウィ路線からの脱却を明確にした。
「INKA」出展しなかった深刻な要因
また、前政権下では投資パートナーとして中国企業を優遇してきたが、現政権は、中国も重要な相手国としつつも、元来の全方位外交に軌道修正しつつある。外交好きを自認するプラボウォ大統領は、とくに日本を含めた西側諸国からの投資や協力の引き出しに余念がない。一方で、プラボウォ大統領の経歴からして、どちらかというと中国には警戒感を持って接しているとみられている。
世界最大の車両メーカー、中国中車は引き続き、会場の一等地に最大のスペースを確保していたが、当展示会のメインスポンサーからは降板した。インドネシア政府は、鉄道車両に対して国産化を強く推進している。中国国内での大量生産を武器に、価格、納期で他社の追随を許さない一方、技術移転に対しては消極的な中国中車が今後、当地でどのような展開を考えているのか。担当者にコメントを求めたが、完全に話をはぐらかされてしまった。
では、なぜINKAはこのインドネシア鉄道界の一大イベントに出展しなかったのか。展示の規模が縮小したからということではない。

