また、6月18日の会見でも「日本側が中日関係の改善を心から望むのなら、中日間の4つの政治文書と自らの約束を順守し、実際の行動によって中日関係の政治的基礎を守るべきであり、言行不一致であってはならない」とし、台湾有事発言の“撤回”について言及しなかった。
「4つの政治文書」とは、1972年の「日中共同声明」、78年の「日中平和友好条約」、98年の「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言」、そして2008年の「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を指す。
台湾について、1972年の「日中共同声明」は「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部」であり、日本は「中華人民共和国政府の立場を十分“理解”し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基づく立場を堅持する」ことを宣言した。
すなわち、日本としては中国の主張を尊重するが、台湾が中国領土であると明言するわけではない――。こうした微妙な表現は、条文を担当した栗山尚一条約課長(当時)らの苦心の賜物だった。
78年の「日中平和友好条約」では「主権・領土保全と内政不干渉」を明記し、98年の「日中共同宣言」では「中国はひとつ」であることを確認。さらに2008年の「日中共同宣言」では、「日本側は日中共同声明において表明した立場を引き続き堅持」としている。
訪中議員が感じた「雪解けの兆候」
高市首相の台湾発言をめぐる中国側の「変化」は、さまざまなところで見ることができた。
8月下旬に訪中し、中国共産党中央対外連絡部の陸慷副部長と会談した公明党の伊佐進一衆院議員は「中国側は『高市首相の答弁を撤回しない限り、対日政策を変更することはない』の一点張りだった」と証言。強硬姿勢を崩さなかったという。
その一方で、このときの会談が対話の糸口を見つけるための雰囲気作りであることに合意。「雪解けの兆候」も感じられたようだ。
また、超党派の日中議連の若手議員8人が9月19日に訪中し、中国外務省の劉彬次官補や民間外交を担う「中国人民対外友好協会」の楊万明会長が対応したが、それに先立つ9月16日に在日中国大使館のXのアカウントは楊氏の声明を投稿。高市首相に対する批判とともに、「日本側に対して、誤りを是正し、中日間の4つの政治文書の原則と精神を遵守し、両国関係の正常な発展のために条件を整えるよう促す」とポストした。


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