ところで、「炎上」の原因となった年間300万円というハードルについてはどのように考えればよいのだろうか。
ANAとしては、SFC PLUS会員が全体の4割程度、SFC LITE会員が6割程度と予想しているという。
もちろん現状でANAカードやANA Payでの決済額が300万円を超えなくても、メインの決済手段として集中させればクリアできる人は一定の割合で存在するだろう。ただしその場合、ANAカードなどでの決済をメインにするかどうかの判断を迫られることになる。
航空会社がかつてのフライトマイルや搭乗回数基準から、「いくら航空会社に投じたのか」という基準にシフトしつつあることは周知の事実だが、その傾向は近年加速しつつある。
地獄の沙汰も金次第
たとえば2026年1月、ANAホールディングスの株・2万株を3年(連続7基準日)以上継続保有すると、ANAの最上級会員であるダイヤモンド会員のベネフィットが得られるしくみが取り入れられることが発表された。
ANAホールディングスの株価を3000円(2026年9月末)と仮定すると、6000万円の投資でANAの最上級会員のサービスを受けられる。まさに「地獄の沙汰も金次第」というわけだ。
こうした動きは何も航空会社にかぎったものではない。JR東日本は楽天銀行と提携したJRE BANKへの預金額などに応じて会員のランクづけをしている。また、大手都市銀行も2025年から2026年にかけて、高額の利用者を対象に次々と大型のベネフィットを発表している。
たとえば、三菱UFJ銀行は2026年8月、2027年3月に開始する「エムット Excellent Club」の概要を発表した。
これは預かり金融資産残高なら3000万円以上、投資信託や外貨預金などの試算運用残高が1000万円以上あれば、「エムット Excellent Club カード プラチナ(アメックス)」が年会費無料で発行される。このカードのベネフィットはほとんど公開されていないが、同じブランドの「三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」(年会費2万2000円)を上回る内容なのはまちがいないだろう。
ANAカードの「改悪」はANAと顧客の妥協という結果となったが、いずれにしても、航空・ホテルなどの上級会員の維持のためには、単なる利用頻度ではなく、どれだけそのグループに金銭的な貢献をしているのか、もしくはどれだけの資金を(提携している金融機関に)投じられるのか、つまり顧客がどの企業と本格的に「つきあっていくのか」が問われる時代に突入していることはまちがいなさそうだ。


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