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築50年でも「あと100年超」もつ?鉄筋コンクリート造の寿命を調べてわかった驚きの事実《専門家に聞く「本当の老朽化」》

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静岡市の羽衣団地は1948年に設計・施工された日本最古の鉄筋コンクリート造だ(写真:筆者撮影)
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これを受けて各自治体で「長寿命化計画」の作成が本格化したのだが、そこで問題となったのは既存のRC造がいつまで使えるのかということ。あと何年もつかが分からなければ、「これからさらに何年使います、それでも安全です」という計画は立てられない。

ところが、それが分からない。それまでの日本ではRC造でも築50~60年で建て替えられることが多かったため、物理的にいつまでもつかを知る必要がなかった。法定耐用年数を物理的な耐用年数と言い換えても文句を言う人が少なかったのはそのためだ。

となれば、実際の劣化状況の調査を基に既存RC造の新たな評価方法を作るしかない。それがBCJが過去に評価した建物のデータや評価結果を分析し、2024年末に特許を取得したコンクリートの中性化に着目した耐用年数の予測法である。

「RC造のもっとも一般的、支配的な劣化要因はコンクリートの中性化。打設時には強アルカリだったコンクリートに大気中の二酸化炭素が侵入することで中性化が進行して鉄筋に到達、そこに水、酸素が供給されることで鉄筋が腐食し、腐食が外壁等の主要構造部に広範囲に広がることで構造耐力が低下していきます。

そこで評価ではコンクリートの外壁等から円筒形のサンプル(コア)を採取し、中性化深さを測定し、それらの分布の上位5%に相当する中性化速度係数を用いてコンクリートの法定かぶり厚さ30㎜に達する年数を調査時点から起算して求めた年数を耐用年数として評価することにしました」と元木さん。

2019年5月から評価業務を開始。2026年3月までに488棟の評価を行い、そのうちの65.9%が100年超という結果が出たことは冒頭で述べた通り。さらに評価の結果、外壁仕上げにモルタルを施工した建物は80.3%が100年超もつという意外な発見もあった。

「施工精度が低かった時代にはコンクリート表面の凸凹を解消するためにモルタルを20~30㎜塗って仕上げていました。モルタルは砂とセメント、水でできており、アルカリ性が強い。そのため、モルタルがコンクリートへの中性化を抑制してきたと考えられます。

ところが昭和50年代以降はモルタルはあまり塗られなくなり、コンクリートに直接、塗料で仕上げることが一般化し、中性化抑制は塗料のみに依存することになりました」(元木さん)

羽衣団地の検査ではコンクリートにフェノールフタレインの溶液を噴霧、中性化を測定した。中性化していないアルカリ性の部分は赤紫色に変色し、中性化した部分は無色のまま。劣化が進んでいないことがわかった(写真:筆者撮影)

結果として施工精度の低さをカバーするためのモルタル仕上げが建物を守ってきたのだ。

一方、中性化に基づく耐用年数評価ができないとした結果も約1割ある。それらの大半はすでに中性化がかなり進行しており、残存耐用年数の推計が正の値にならないものだった。

その他には海砂を洗わずに生コンに投入、コンクリート内に大量に塩化物イオンが存在するケース、かぶり厚さ(*1)の不足、豆板(*2)や加水などの施工不良が多数あるケースなども。耐久性に問題がある建物も一定数あるわけだ。

(*1)かぶり厚さ:内部鉄筋を保護するためのコンクリートの厚さ。法定では30㎜
(*2)豆板:打設時に砂利が偏って表面に露出、すき間や空洞が多くなってしまった施工不良のこと

コンクリートの中性化だけなら問題なし

残存耐用年数が評価上最短の20年未満という建物も35棟あったが、この評価が出たら20年後に建物が使えなくなるというわけではない。

「コンクリートの中性化が鉄筋に到達してもそこに水と酸素が供給されなければ鉄は錆びません。建物間仕切り壁などは非腐食環境とされますが、これは中性化が鉄筋に到達しても降雨等による水の供給がないためです。

また、仮に外壁であっても外側が鋼板などで覆われていて雨水がコンクリートに浸透しなければ問題にはなりません。数年前に築90年になっていた小学校の耐用年数評価をしましたが、外壁の中性化は進んでいたものの、コンクリートの含水率は2%台と低く、鉄筋は錆びていなかった。そこで外壁の防水性を高めておけば長期に使用できるという結論を出したこともあります」(元木さん)

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