それを理解するために他の減価償却資産を見てみよう。
たとえば耐用年数表では自転車、リヤカーが2年、冷暖房機器、冷蔵庫、洗濯機などが6年となっているが、実際問題、自転車が2年で、冷蔵庫が6年で使えなくなることはあまりない。
2年過ぎたから経費で落とせない、じゃあ、買い替えようと考える事業者はいるかもしれないが、法定耐用年数が過ぎた自転車は使えない、もう壊れていると考える事業者はいないだろう。
もうひとつの70年は公営住宅法施行令などに規定されている公共住宅の耐用年限で、このところ、たまに団地が売却されているのは耐用年限が過ぎたから使用中止という動きだ。
だが、こちらも法で定められた年限が過ぎたら物理的に使えなくなる、倒壊の危険があるわけではない。
たとえば静岡県静岡市にある日本最古のRC造団地のひとつ、静岡市営羽衣団地は1949年3月に竣工、2026年9月時点では築77年を超えているが、現在も現役だ。
築年数の問題から一時建て替えを考えたこともあったそうだが、他地域の同年代団地を調査する大学関係者から問い合わせを受けるなどで最高齢団地として注目を集めた。それを受けて2025年1月に耐用年数評価のための調査をした結果、コンクリート内部は至って健全。コンクリートの圧縮強度も十二分にあることが分かり、継続使用されることになった。
この調査を行ったのが冒頭に挙げたBCJである。
BCJは新しく開発された建築構法や設備、材料などに関する技術的評価を行う専門機関であり、建築関連の情報センターの役割を担う存在として1965年に活動を開始。2025年8月に設立60周年を迎えた歴史ある建築関係の専門家集団である。
科学的アプローチによる評価、100年超もつ建物も多数
耐用年数評価が求められた背景には公共建築物の長寿命化を必要とする現実がある。
校舎や庁舎、公営住宅などの公共建築物の多くは戦後の高度経済成長期に集中的に建設された。当然、老朽化もほぼ同じタイミングで起きる。だが、それらすべての公共施設を解体、建て替える財力は人口、経済が縮小する日本には残されていない。
そこで政府のインフラ老朽化対策連絡会議は2013年に「インフラ長寿命化基本計画」を策定。2014年には総務省が全国の自治体に対し、学校や庁舎などの公共施設、道路などのインフラを一元的に管理する「公共施設等総合管理計画」の策定を要請した。


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