日本が26年2月の試験でレアアース泥の引き上げを成功させた水深6000mという深さは、これまで技術的に手が届かなかった領域だ。これは日本にとっても、レアアースの獲得にとどまらない意味を示唆する。
政治パフォーマンスと化す、深海採掘競争
26年3月、日米首脳会談で南鳥島におけるレアアース共同開発が合意された。南鳥島沖付近の、日本EEZ外の公海で中国国有企業による採掘計画が増加する中で、この日米共同開発は中国をけん制する狙いもあると日本国内では報じられた。
日米共同開発について報道で初めて知ったという海洋研究開発機構(JAMSTEC)の山本啓之氏は、4月におこなった取材の中で「あれ(日米共同開発の合意)にはびっくりした」と述べた。
「アメリカの(天然資源の管理を所管する)内務省に知り合いがいて、その方からも『こんな話が出てきちゃうよ』というメールが来た。『そんな話知らないよ』と返事を返したのだけども(笑)」(山本氏)
山本氏は、この状態での発表は「政治的パフォーマンスの側面が強いだろう」と答えた。
3月19日に経産省と米商務省が交わした覚書は法的拘束力を持たず、資金の支出も約束しない、情報共有を中心とした枠組みにすぎない。しかし参加省庁のリストに名を連ねるのは、日本の防衛省とアメリカの国防総省(戦争省)だ。資源開発の協力文書に両国の軍事・防衛担当省庁が正式に関わることは、深海採掘が資源だけの問題ではないことを際立たせる。
重要鉱物のサプライチェーンと、資源採取をめぐる地政学を研究する米デラウェア大学のトム・ヘイル博士は、日本の今の動きをより長い文脈のなかに置く。
「ワシントンでのレアアース論争は、11年ごろの尖閣諸島の事件(中国漁船衝突事件)から始まった」
中国が日本に対して持つ影響力が、無視できないものになった瞬間だ。つまり日本は、当初からレアアースをめぐる物語の一部であり、近年の米軍との協定は、その中国という次元への関与を、いっそう深めているのだという。


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