島を管轄する小笠原村の渋谷正昭村長は、これらを結びつけて見ることには慎重だ。レアアース採掘は内閣府から、核廃棄物処分場の文献調査は経済産業省からとそれぞれ別の経路で説明を受けている、と村長は取材に対し説明した。
「レアアースと核廃棄物の話は全く別のものとして、我々に届いている。それぞれの説明を聞いているかぎり、全く別のものだと思います」(渋谷村長)
ただ形としては、1つの無人島に3つの異なる国家プロジェクトが集まろうとしていることに変わりはない。その代償を最も近くで引き受けるのは、南鳥島を管轄しながら、島に足を踏み入れることさえできない小笠原の人々になる。
また核廃棄物の最終処分場とミサイル訓練の場が同じ島に重なれば、敵国にとって格好の攻撃目標になりかねない。小笠原村の宮城雅司村議は、安全保障上のリスクへの懸念を口にした。
「質問する相手を間違えているのかもしれないが、地層処分を担当する経済産業省とNUMO(原子力発電環境整備機構)にそう質問すると、『国防はうちの管轄じゃないのでわかりません』とだけ返ってきました」(宮城議員)
軍事転用が可能な、海底マッピング技術の思惑も
南鳥島周辺で同時に進むプロジェクト全体を見渡して責任を負う者は、依然として存在しないのが現状だ。この構図を、グアム議会のウィリアム・パーキンソン上院議員は「フロンティアの論理」だとして、同じ海洋世界を共有する太平洋の島として注視している。
「南鳥島には住民がおらず、日本の本土から遠いために、行政的に都合のいい場所として扱われることが可能である。しかし無人であることは、生態学的に空っぽであることも、周囲の太平洋の共同体から切り離されていることも意味しない」(パーキンソン上院議員)
深海採掘がアジア太平洋で過熱する背景は、資源の文脈だけでは説明しきれない。海底を詳細にマッピング(地図化)する技術は、そのまま軍事的目的にも転用できる可能性が指摘されているからだ。
26年3月、環境報道メディア「Mongabay(モンガベイ)」と米メディアのCNNは、ピューリッツァー・センターの支援を受けた調査報道を発表した。両社は、中国が深海採掘の調査を行う8隻の国有船を、21~26年までの5年間にわたって追跡。すると、それらの船が鉱区で過ごした時間はわずか約6%に過ぎず、残りの多くを軍事的に重要な海域で費やしていたことが判明したのだ。
海底を芝刈り機のように何度も往復して精密な地図を作る動きは、単なる資源調査の枠を超えている。鉱物の探査と同時に、米軍や自国の潜水艦が通る海底地形の把握という軍事目的も担っているのではないかという可能性がだんだんと浮かび上がってきた。


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