大きな期待を自らつくった以上、結果が伴わなければ反動も大きい。「神様」とまで持ち上げられた人物は、一度つまずくと「実は何もできなかった」と正反対の評価を受けやすい。森岡氏自身の発信が期待値を高めてきた面はあるとしても、成功時には一人の功績として称賛し、失敗時には一人の責任として断罪する評価の仕方は適切ではない。
現段階で「ジャングリアは失敗」「森岡氏は無能」と結論づけるのは時期尚早
ただ、今回の巨額赤字は軽視できない。追加融資や新たな出資を必要とする状況である以上、経営上の厳しさは明らかであり、得意としてきた需要予測にも大きな疑問符が付いた。これまでの森岡氏に対する評価に、メディアや、それに踊らされた世論が作り上げた「神話」が含まれていたことも否定しにくい。もちろん、森岡氏や彼が率いる刀が、それを巧みに利用した――という側面も多々あるが。
しかし、現段階で「ジャングリアは失敗」「森岡氏は無能」と結論づけるのも時期尚早だ。むしろマーケターとしての真価が問われるのは、開業後の実データが蓄積されたこれからではないか。来場者が何を評価し、何に不満を持ち、どこで離脱するのか。価格、交通、アトラクション、暑さや雨への対応など、改善すべき変数は開業前よりも具体的に見えるようになっている。
0から1をつくる段階の予測でつまずいたとしても、1を10にすることが本当に得意なのであれば、ここから改善を積み重ねられるはずだ。逆に、実データがそろっても立て直せないのであれば、「数学マーケティング」や過去の成功に対する評価も改めて検証されることになる。
森岡毅氏を「神様」と呼ぶのも「ペテン師」と切り捨てるのも簡単だ。だが、そのどちらが妥当かを決めるより、ジャングリアをここからどう変えていくのかを見るほうが、マーケターの実力を測るうえでははるかに意味があるし、森岡氏の真価が問われるのもこれからではないかと思う。


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