誰かに好かれようとして愛想よくしているのではない。相手によって態度を変えず、必要以上に踏み込むわけでもないけれど、人を雑にも扱わない。それまで見てきた樹生の姿が、このエピソードによって一気につながります。そんな人物を、中島は飾らず、少し距離を残すように演じる。その佇まいが、役の魅力をさらに引き立てていました。
Netflixを見ていると「また中島歩がいる」
ただ、中島歩の存在感が際立っているのは、『Tシャツが乾くまで』だけではありません。ここ数年を振り返ると、朝ドラ、大河、Netflixと話題作への出演が相次ぎ、そのたびにイケメン風味で終わらない、妙に気になる役どころを印象づけていました。そうした積み重ねの先で、いま本格的なブレイクを迎えているのです。
NHK連続テレビ小説『あんぱん』では、今田美桜演じる朝田のぶの最初の夫・若松次郎役。穏やかで誠実な夫でありながら、戦争によって命を落とします。皮肉にも次郎の死が、のぶと柳井嵩が結ばれていく物語の転機になります。しかも、その先に「アンパンマン」が生まれる未来を思えば、彼の退場は避けられない。なんとも憂いを漂わせた男に見えました。
実はNetflixを見ていると、「また中島歩がいる」と思うことも少なくありません。『地獄に堕ちるわよ』では、戸田恵梨香演じる細木数子が惹かれる須藤豊役。魅力的ないい男に見せかけながら、数子の人生を地に落とす信用ならない男の顔を、憎々しく演じています。すでに一筋縄ではいかない役の印象が強い中島だけに、登場した瞬間から「何かある」と警戒してしまったほどです。
『ガス人間』では、身寄りのない子どもたちが暮らす「うみかぜ」の施設長・小畑広紀の若い時代を演じています。眉毛の上に大きなイボを付けた風貌も相まって、中島歩だとすぐには気づかないほど。ここでは“イケメン”の面影を頼りにすることなく、ただただ不気味で、どこか掴みどころのない男を演じています。
Netflixの出演作は他にも、『浅草キッド』『離婚しようよ』『パレード』『阿修羅のごとく』『イクサガミ』と本当に多い。Disney+の『ガンニバル』シーズン2にも登場しています。こうして並べると、ここ数年の配信作品での遭遇率の高さがよくわかります。


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