亀田さんは当初、工業高等専門学校への進学を考えていた。宇宙に関わることを学びたいなら、技術を身につけられる工学系へ進めばいいと思っていたからだ。しかし、通っていた塾の塾長から、「宇宙を勉強したいなら、工学より理学のほうが近い。大学を目指して高校へ進んだほうがいいのではないか」との助言を受け、高校受験に舵を切る。
そこで進学を決めたのが、県内トップの公立高校である奈良高校だった。公立校ながらSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、科学分野の探究活動にも力を入れている。
数学や物理の知識は問題解決のための「道具」
高校では物理部に所属した。1年生でロボットを作っていたときのこと。安定して動かすには、ただ速度を見るのではなく、「単位時間あたりに速度がどれくらい変化したのか」がわかれば制御できるのではないか、と考えた。しかし、その値をどうやって求めればいいのかわからない。
問題は見えている。しかし、解決するための道具が足りない。
「見つけた課題に対して、持っているスキルセットがまったく追いついていなかった。それが自分でもわかっていたから、もどかしかったんです」
ニュートンが書簡で用いたことで知られる、「巨人の肩の上に立つ」という言葉がある。先人が積み重ねてきた知識の上に立つことで、人はさらに遠くを見ることができる、という意味だ。亀田さんが自力でぶつかった問題の多くも、人類はすでに考え、解決するための「道具」を積み上げていた。
その道具をもっと知りたい。もっと使えるようになりたい。学年が上がり、数学や物理の知識という「道具」が増えるにつれて、亀田さんのできることは急速に増えていった。入学当初は下から数えた方が早かった成績も、1年生の終わりには、数学の実力テストで校内1位を取るまでになっていた。


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