「会員権は私たちが売る最も重要な商品だ」。Costcoの経営陣が繰り返してきたこの言葉が、2026年5〜8月期の決算説明会では思いがけない場所で裏付けられました。買い物の相談相手が検索エンジンからAIへ移りつつある中で、広告費を一切かけない小売企業に何が起きているのか。
一方でアナリストの視線は別のところに向いていました。有料会員数の伸びは鈍り続け、政府から取り戻した関税をそのまま会員への値下げに回す施策には「本当に売上に効いているのか」という問いも飛びました。値下げを重ねる企業の帳尻は、どこで合っているのでしょうか。
AI検索の売れ筋に会員権が入る
AIに「どこで買えばいいか」と尋ねた人が、家電やテレビと並んで買っているのがCostcoの会員権そのものです。ゲイリー・ミラーチップCFOは、AI検索経由でCostcoのサイトに来る流入が2四半期連続で3桁成長し、コンバージョン率(訪問者のうち実際に購入する割合)は全流入の中で最も高いと説明しました。絶対量はまだ小さいものの、AIが「Costcoに入る価値」を消費者に代わって語り始めた格好です。
興味深いのは、Costcoが有料のデジタル広告を一切打っていない点です。ミラーチップCFOは「AIは私たちの価値と品質が透明に示される中立的な環境だ」と述べ、GeminiやAnthropic、OpenAIといったAIツール経由の売上が3桁成長していると語りました。広告予算で検索結果の上位を買う必要がなく、実際の価格と会員のレビューだけで評価される土俵が、Costcoに有利に働いているという見立てです。
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