ここで考えたいのは、再生回数が広告収入につながる仕組みの下では、人々が驚き、怒り、不快に思う行為であっても、注目を集めれば再生回数になるということである。いわゆる「迷惑系YouTuber」の問題である。
25年4月には、中国版TikTok(抖音)で約430万人のフォロワーを持つ大食い系インフルエンサーが、日本の海鮮ビュッフェを訪れ、刺身などの食材を他の客が取れないほど大量に取り、日本人を侮蔑する言葉を口にした動画が、日本と中国の双方で批判を浴びた。
「食べ放題」である以上、店が定めたルールの範囲内で多く食べること自体が直ちに問題になるわけではない。問題は、大量に取る、大量に食べるという行為そのものが、視聴者を驚かせ、再生回数を稼ぐための「見せ場」になっていくことである。
食べ放題という語感の問題
日本では「食べ放題」という言葉がごく普通に使われている。しかし、この言葉について一度考えてみてもよいのではないか。英語では「食べ放題」を「all-you-can-eat」という。一方、「buffet」は本来、自分で料理を選んで取る食事形式を表し、必ずしも食べ放題を意味しない。中国語の「自助餐」も、セルフサービス形式の食事という意味合いが強い。これに対して日本語の「食べ放題」は、「どれだけ食べてもよい」という量の無制限性を強く意識させる。
「食べ放題では元を取らなければ損だ」という言葉もよく聞く。何皿食べれば元が取れるか、どういう順番で食べればより多く食べられるか、原価の高い料理から取ったほうが得だ――。しかし、食事とは本来「元を取る」ためにするものなのだろうか。


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