ハワイのような島嶼地域でも、今後の進出を不安視する声が広がりつつある。大規模施設では、膨大な冷却水や電力を消費するため、地域の水資源への負荷や電力供給の逼迫が懸念されている。全米最大規模の電力網(PJM)を抱える米東部・中西部エリアでは、データセンター需要の急増が電気代上昇の要因の一つとされており、生活費や光熱費の高騰に苦しむ住民の負担が、さらに重くのしかかる危機感が強まっている。
「MetaやGoogleのような大手テック企業が、AIの開発レースを優先するあまり、データセンター周辺で暮らす人々の負担を後回しにすることがあってはなりません。電気代の高騰や貴重な水資源の消費など、人々の犠牲の上にAIを進めるべきではないという点では与野党の意見は一致しています。求められているのは、住民の暮らしが押し潰されないよう、しっかりとした境界線を法的に設けることです」
世論操作の恐ろしさを痛感
外資系プラットフォームの規制をめぐり、トクダ氏は中国政府の影響が指摘されるTikTok売却(ディベストメント)法案に賛成した際の実体験を明かす。審議中、アプリ画面から議会事務所への自動接続(ロボコール)を促す仕掛けによって、全米の若者からの電話が殺到し、事務所の回線が一時パンクしたという。
「アプリ画面に『議員に電話するまでアカウントが開かない』と表示され、回線がパンクしました。単一のプラットフォームが一瞬でこれほど多くの人々の行動を操れるというファクトは、私たち全員をゾッとさせるに十分な恐怖です。こうした世論操作は台湾や韓国、日本でも起きています」
トクダ氏は自身が創設初期に関わった「サイバー・ハワイ」の経験にも触れる。巨大インフラだけでなく、街の個人商店といった中小企業こそが攻撃の標的になりやすく、基本的なサイバー衛生の向上が不可欠だと痛感したという。
「デジタル空間の脅威に対し、自国だけで孤立するのではなく、日本や欧州、台湾など経験豊富な同盟国と知見や技術を共有し、国際的な防御ネットワーク(シールド)を形成することが重要です」
プラットフォームを介した世論操作やサイバー攻撃への対応にとどまらず、日本や韓国など長年の同盟国に対する関税措置や、”ディール”に基づく「トランプ外交」の見直しもまた、アメリカ政治に突きつけられた重要な課題だ。
一国主義や保護主義への偏りを排し、共通の価値観を持つ同盟国と「デジタルシールド」や健全な経済関係を再構築できるか。民主主義の根幹と国際秩序を支えるアメリカの対応は、そのまま世界全体の安定の行く末を占うものになる。


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