では、家庭ではどうすればいいのでしょうか。
年齢や利用状況によっては、視聴時間を制限することも必要です。
ただ、「ショート動画を観るな」と禁止するだけでは、子どもが自分で選べるようになったことにはなりません。
親に選択を管理されているうちは、主導権がアルゴリズムから親に移っただけだからです。
大切なのは、少しずつ子ども自身に主導権を戻していくことです。
たとえば、次のような工夫から始められます。
・「この一本まで」「15分まで」と、終わりを決めてから観始める
・おすすめ欄を眺め続けず、観たいものを検索して再生する
・観終わったあと、「どんな内容だったか」を一言で話してみる
・本や漫画、長めの動画など、ひとつの作品に20分以上向き合う時間をつくる
これは、娯楽を取り上げるためのルールではありません。自分の時間と注意を、自分で扱う練習です。
AI時代だからこそ「自分で選ぶ力」が必要になる
これからAIは、ますます便利になっていくでしょう。
何もしなくても、自分の好みに合った動画や記事、商品をすすめてくれる。自分で調べなくても、知りたいことを質問すれば答えを返してくれる。生活は確実に便利になります。
しかし、便利になるということは、自分で探し、自分で迷い、自分で決める機会が減るということでもあります。
だからこそ、これからの時代には、「自分で選び、自分で始め、すぐに答えが出なくても向き合い続ける時間」を、意識してつくる必要があるのではないでしょうか。
昔は、「漫画ばかり読んでいないで勉強しなさい」と言われていました。
しかし、これからは親や先生が、「流れてくる動画ばかり観ていないで、漫画でも読みなさい」と言う時代になるのかもしれません。
ボタンを押すか、スワイプするか。
それ自体は、ほんの小さな違いです。
しかし、その行動を毎日何十回、何百回と繰り返した先で、「自分で選ぶ力」と「ひとつのことに向き合い続ける力」に、大きな差が生まれていく。
先生たちが本当に心配しているのは、子どもが漫画やアニメを好きなことではありません。
子どもたちが、自分で「これを観たい」「これを知りたい」と選ぶ前に、流れてくる刺激へ反応するだけになってしまうことなのだと思います。


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