1645年、江戸時代初期に創業した同社は、職人の勘と経験を頼りに、醤油醸造を行っていた。ところが、明治時代に入ると醤油研究所を設立し、科学の力を味方にヤマサ菌(麹菌)の改良に力を注ぐ。それと同時に優れた研究者を育て、いくつもの新たな発見・発明を生み出した。そのうちの一つはうま味成分の解明で、食の分野に大きく貢献することとなる。
その後、戦後に発売した「さしみしょうゆ」を皮切りに、1979年(昭和54年)には業界初となる瓶入りストレートつゆを開発。1992年(平成4年)には有機栽培大豆を使った醤油を、業界に先駆けて製品化している。1997年(平成9年)にはかつおだしが当たり前だっためんつゆ市場において、昆布だしをメインにした「昆布つゆ」の製品化に成功。大ヒットを巻き起こした。
こうして振り返ると、同社はその時代に「なかったもの」を、いくつも生み出している。老舗の看板を守りながらも、決してあぐらをかかず、業界の常識や固定観念を疑い続けてきた節があるのだ。「鮮度の一滴」や「鮮度生活」が生まれたのは、“常識を疑うDNA”が脈々と受け継がれてきたからにほかならない。社内の反対をものともせず、たった一人のアイディアから革新的な商品が生まれていることが、何よりの証拠だろう。
変えてきたもの、変えなかったもの
「鮮度の一滴」から「鮮度生活」へ移り変わった17年を振り返ると、同社が変えてきたもの、変えなかったものがくっきりと見えてくる。
変えてきたものは、ブランド・容器・容量・鮮度の保持期間だ。ブランドは「鮮度の一滴」から「鮮度生活」へ。容器はパウチからボトルへと変わり、年々環境負荷の少ない素材へとアップデートされている。これに伴い、鮮度の保持期間も伸びた。また、容量のラインナップが枝分かれしたことで、顧客層も広がりを見せている。
一方で、変えなかったものもある。それは、「醤油本来のおいしさを、最後の一滴まで届ける」という信念だ。届け方は変えても、同社が培ってきた「澄んだ赤い醤油」「豊かな香り」「うま味」を、開封後も味わってもらいたい、という思いは決して変わらない。
およそ380年をかけて"熟成"させてきたのは、醤油だけではなかった。「鮮度シリーズ」の歩みは、不変の志を守ろうと、手段を変え続けてきた歴史そのものだった。


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