それだけではない。エンツォ・マッティオーリ・フェラーリは、イタリア本国における“歴史的遺産の保全”という実業も担っている。MAGが2017年に買収したモデナ郊外の名門カロッツェリア「バッケリ&ヴィラ」(Bacchelli & Villa)において、彼はCEOに就任した。
フェラーリ・クラシケ推奨のボディショップである同社で、彼は職人の手作業による伝統的なアルミ成形技術を守りつつ、最新の精密機器やシステマチックな工程管理を導入し、レストアビジネスを現代的な企業経営の形へと進化させている。
ピエロ・フェラーリもまた、こうした歴史的価値の保全やブランドの血脈を次代につなぐ取り組みを間近で力強く後押ししているのである。
守り抜くスーパーカーの王者のポジション
非ヨーロッパ資本への依存なしには立ち行かなくなりつつある欧州自動車業界において、フェラーリの自立ぶりは異彩を放っている。
圧倒的な収益力で独立を維持し、特別議決権で支配力を固めるエクソール。創始者エンツォ・フェラーリの直系である創業家として、信託により一族の結束を守る息子のピエロ。そして同じく創業家の血脈を継ぎ、北米での販売最前線からモデナでの伝統継承に至るまで実体ビジネスの第一線で汗を流す孫のエンツォ・マッティオーリ・フェラーリ。
資本のロジックと創業家による現場の実業が見事に噛み合っているからこそ、フェラーリは外資の波に呑み込まれることなく、王者としての揺るぎないポジションを維持し続けていられるのだろう。


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