リベラル勢力は、この格差を「能力主義(メリトクラシー)」という美名で正当化した。
実力や努力によって成功を勝ち取った者(勝者)は、自らの地位を当然の権利と考え、敗者となった大衆を「努力を怠った無能な人々」として見下す。
マイケル・サンデルが告発したように、能力主義は成功者に傲慢さを与え、敗者に深い屈辱感を植え付けたのである。
労働者階級の叫びを「道徳的欠陥」とみなすエリートの過ち
労働者階級(かつて左派政党の大黒柱であった人々)は、進歩派政治家から政治的に見限られ、リベラル右派からは経済的合理性の名のもとに見捨てられた。彼らが抱く深い絶望感と無力感こそが、トランプの当選やブレグジット(英国のEU離脱)といった、ポピュリズムの巨大な地殻変動を引き起こした真の原動力である。
しかし、既存の左右リベラルエリート層は、この大衆の反乱に対して真摯な反省を見せるどころか、激しい蔑視と怒りで応じた。
バラク・オバマの「彼らは銃や宗教にすがりついている」という発言や、ヒラリー・クリントンの「(トランプ支持者の半分は)嘆かわしい人々の集まりだ」という蔑称に象徴されるように、エリート層は大衆の正当な異議申し立てを「人種差別」「性差別」「無知」「偏狭」といった道徳的欠陥に帰着させて非難した。
保守派の批評家ケヴィン・ウィリアムソンに至っては、経済的に衰退する中西部の町について「過酷な事実として、これらの機能不全に陥った町は消滅して当然だ。必要なのは引っ越し用のトラックだ」とまで言い放った。
現代のパワーエリートにとって、「アイデンティティ政治」の真の魅力はここにある。人種やジェンダーなどの多様性を叫び「意識の高さ」をアピールすることで、自らの特権的な階級構造や労働者階級の荒廃から見事に目を逸らし、自らの道徳的優位性を誇示できるからだ。
しかし、大衆を「道徳的に劣った非道徳な存在」と決めつけ、彼らの生活の基盤を壊し続ける体制が持続可能であるはずがない。
リベラリズムが自ら作り出したこの「冷たい内戦」を終わらせるためには、もはやリベラリズムの枠内でのマイナーチェンジは不可能なのだ。私たちは、伝統的な防護柵を再構築し、大衆の生活を守る真の政治への転換を求められている。
[訳:角敦子]


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