このことは市議会でも話されている。「メイプル」閉店が公表されたあとの市議会では、「ジャスコ、ジョイス、マルイチと撤退してきたのは採算が合わなかったからであり、店舗誘致は容易ではない」旨が答弁されている。また、「車で郊外型の店舗に行って買い物するスタイルが定着したなかで、メイプルの立地でショッピングセンターとしての役割は厳しい」との発言もされている。(奥州市 令和4年12月臨時会(第4回)12月22日-01号)
市は「メイプル」の厳しい状況を理解したうえで、それでも未来のために投資が必要だとしている。
「メイプル」閉店が発表された当初、市は地権者からの無償譲渡を前提に「メイプル」の土地と建物を取得する方針を示した。しかし地権者の同意が得られず、不動産鑑定評価額に基づいて買収することに。2023(令和5)年5月に、土地と建物の取得費や光熱水費、施設管理委託料など3億2938万円を盛り込んだ予算案が可決された。
そして市は「メイプル」を取得し、現在に至るまで管理している。
終わらせられない理由から続ける理由へ
「メイプル」は、中心商店街の活性化のために再開発によって建設された。郊外や近隣市町村に競合施設が立地するなかで商業施設として成立しなくなり、一度閉店。国、県、市の補助金を受けてリニューアルした後に選んだのは、あくまで商業機能を維持しつつ、一部に公的施設を入れる方法だった。
「メイプル」に投じられた公的資金の多くは、商業施設として存続するために使われてきた。ところが、消費者の買い物行動の変化は補助金で変えることはできなかった。延命のために入れた公的施設は、やがて「メイプル」を“終わらせられない”理由となり、市は支出を重ねた末に建物そのものを引き取った。
市は東京の企業と連携協定を結び、将来的な民間への譲渡を目指して「メイプル」の復活に向けて動いている。具体的なプランはまだ明らかになっていないが、今度は商業施設ではない多様な機能を持つ施設として再生する計画だ。その道のりにおいては、設備の改修費用に約12億円がかかるとされている。
今度こそ、「終わらせられない理由」ではなく「続ける理由」を見いだせるか。これは奥州市だけでなく、中心市街地に“かつての核”を抱える全国の自治体に向けられた問いでもある。


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