新生「メイプル」のオープン当日は、「午前10時の開店とともにフロアは、肩がぶつかり合うほど人であふれた。店内のワゴンセールには人垣ができた。店舗前の道路は午前中を中心に渋滞。駐車場も一時満車となった」というほどの盛況ぶりだった。(『胆江日日新聞』2006年4月7日)
ところが郊外への消費流出は止まらず、来店客数は思うように伸びなかった。2019(平成31)年2月に核テナントのジョイスが売り上げ減少を理由に撤退。4か月の核テナント空白期間を経て、後継として2019(令和元)年6月に食品スーパーのマルイチが出店した。
その後も空き区画が目立つ状態が続き、わずか3年後の2022(令和4)年11月に「メイプル」の閉店が発表された。
テナント撤退により水沢クロス開発の資金繰りが悪化していたところに、コロナ禍や電気料金の高騰が重なり、閉店せざるをえないという判断に至ったという。そして「メイプル」は2023(令和5)年4月末で再び幕を下ろした。
水沢クロス開発は、同年5月に盛岡地裁水沢支部から破産開始決定を受けた。
廃墟モール誕生要因の多くがあてはまる
冒頭にて、廃墟モールの誕生には7つの要因があると書いた。具体的には以下の7つだ。
①競合施設の存在、②モータリゼーションの進展、③アクセスの悪さ、④動線の設計ミス、⑤施設規模の不適合、⑥運営会社の破綻、⑦核テナントの撤退
「メイプル」は、駅前の中心市街地に立地しているが、国道4号沿いをはじめとした郊外に競合店が誕生し、核テナントが撤退。商圏に対して施設規模が大きすぎる状態となってしまい、運営会社が破綻して閉店した。
つまり、①競合施設の存在、②モータリゼーションの進展、⑤施設規模の不適合、⑥運営会社の破綻、⑦核テナントの撤退と、廃墟モール誕生要因の多くがあてはまる。
「メイプル」は現在、公的施設が入る一部を除いて大半が廃墟と化しているが、将来的な再生に向けて動いている。しかし、これまでの「メイプル」の存続、これからの再生の裏には、多額の公的資金が注ぎ込まれているという事実がある。
続く後編では、「メイプル」と公的資金をめぐる問題に迫る。


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