授業はすべて英語で行われ、学士・修士を連続して学ぶ5年一貫の教育課程が構想されています。
定員は100人で、約半数を「国際的背景を持つ学生」とする計画です。
4年次には全員が国内外の企業や国際機関などで約半年間のインターンシップを行います。東大が公表した設置計画資料を読むと、従来の東大とはかなり異なる大学教育を作ろうとしていることがわかります。
定員にも大きな変化があります。100人の枠は大学全体の定員を増やして用意されたものではなく、既存学部からの再配分です。
基本計画書では、文学部人文学科が53人減、農学部も2課程で合計40人減となる一方、工学部や教育学部の一部では増員も行われています。
また、従来型の一般選抜の募集人員は、2026年度の2960人から2027年度には2858人へ、102人減少します。
つまり一般選抜で東大を目指す受験生にとって、門が「100人分」ではなく、正確には102人分狭くなるのです。2027年度の東京大学入学者選抜要項からも、新学部の設置が既存の東大入試に直接影響することがわかります。
会場で受ける「個別筆記試験」がない
さて、今回考えたいのは、新学部を作ることの是非ではありません。
僕が注目したいのは、冒頭の「ビデオ課題」を含む入試の形式です。
大学がどのような選抜をするかは、その大学がどのような人を「優秀だ」と考えているのかを示す、非常に正直なメッセージです。
価値創造学部の入試を見ると、2027年の東大が、従来の学力試験だけでは測りきれなかった何を見ようとしているのかが浮かび上がってきます。
価値創造学部の募集は、2つのルートに分かれています。Route Aは大学入学共通テストを利用する枠で50人。Route Bは国際バカロレア、Aレベルなど、東大が指定する統一試験や資格を利用する枠で50人です。
国籍による区分ではなく、どの試験結果を使って出願するかによってルートが分かれます。
大きな特徴は、どちらのルートにも、会場で受ける教科・科目別の個別筆記試験がないことです。エッセイは提出しますが、一般選抜の2次試験のように、決められた日に国語や数学などの問題を解く試験はありません。
Route Aで数値化された学力を測る中心は、共通テストです。東大は、入学後の学修に必要な基礎学力を確認する観点から「概ね8割以上」を目安としています。
ただし、これは機械的な足切り点として示されているわけではありません。選抜は書類や面接を含めた総合評価です。それでも従来の東大入試と比べれば、学力試験の位置づけが大きく変わったことは間違いありません。
一般選抜では、共通テストを通過した後、記述式の2次試験でどれだけ点を取れるかが勝負でした。
一方、価値創造学部では、学力は入学後の学びに参加できるかを確かめる重要な土台であり、その先は別の材料も使って評価する設計になっています。
もちろん、決して「勉強ができなくてもいい」という入試ではありません。


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