3日後、ついにその瞬間が訪れた。ターゲットの男性社員(27歳)が、トレイに定食を乗せたまま、決済端末に社員証をかざすフリだけをして、決済音が鳴る前にスッと席へ向かったのだ。
「ちょっといいですか」
私たちはすぐさま背後から声をかけ、現行犯で押さえた。
別室で問い詰めると、彼はしぶりながらも最終的に無銭飲食を認めたが、手慣れた所作からして常習犯であることは明白だった。
本来なら懲戒解雇になってもおかしくない事案だが、本人から深い反省の色が見えたことと、まだ若手である点が考慮され、最終的には出勤停止という重めの懲戒処分が下された。また、無銭飲食分についても、過去の防犯カメラの映像から算出した金額をすべて返還してもらう形で決着した。
「会社の食堂なら、少しくらいかすめ取ってもバレないだろう」というモラルの欠如が招いた、あまりに惨めな結末である。
公私混同が「自分の首」を絞める悲劇
会社を私物化することは、モラルに反するだけでなく、時として自分や家族の首を絞めることにもなる。最後に、知人から聞いた実例を紹介しよう。
ある男性社員(43歳)は、会社から貸与されたスマートフォンに、個人のクレジットカードを紐づけ、複数のサブスクリプションサービスをインストールしていた。あろうことか、会社のメールアドレスでアカウント登録し、個人的に利用していたのだ。
そんな彼にある日突然、悲劇が訪れた。急病で倒れ、一時意識不明の重体に陥ったのだ。長期休職を余儀なくされたため、家族が代わりに会社へスマホを返却することとなった。
だが、本当の悲劇はここからだ。
のちに意識が戻り、回復に向かっていた本人が「そういえばサブスクを解約しなければ」と気づいたが、時すでに遅し。セキュリティの関係から端末は初期化され、会社のメールアドレスも停止状態に。本人自身、パスワードの記憶もあやふやで、サブスクのアカウントにログインできなくなってしまったのだ。


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