彼女が出張を入れる日はすべて、彼女が熱狂的に推している某アイドルの「全国ドームツアー」の開催日程と完全に一致していたのである。札幌、名古屋、大阪、福岡……。見事なまでの全国ツアー帯同である。
つまり彼女は、会社から支給される往復の交通費と宿泊費を利用して、「推し活」の全国遠征を行っていたのだ。
最近は、ビジネス(出張)とレジャー(観光)を組み合わせた「ブレジャー」という新しい働き方が注目されている。金曜に出張先で仕事を終え、土日は自費で延泊してリフレッシュするといったように、公私を両立させる制度として容認する企業も増えてきた。
ルールを守って活用するのは結構なのだが、ブレジャーはあくまで「主目的が業務」であることが前提だ。彼女のように出張の主目的が「推し活」にすり替わり、それに合わせて無理やり業務をでっち上げていたとなれば話は別だ。
事実確認の上で厳重注意となり、彼女がその後しばらく、出張申請のたびに「本当に仕事か?」と白い目で見られたのは言うまでもない。
社員食堂で「無銭飲食」を繰り返した若手社員
出張費の悪用も大概だが、中には「犯罪」の領域に足を踏み入れていた若手社員もいる。
これは自社が運営する工場の社員食堂でのこと。社員証を決済端末にかざして後日給与から天引きされるシステムなのだが、「どうも最近、怪しい動きをしている男性社員がいる」と目撃した社員から情報が入った。
「まさか、社員が職場で食い逃げなど……」と半信半疑だったが、放置はできない。私たち人事メンバーは複数名でチームを組み、食堂の柱の陰から彼を監視。決済レジ周辺を見張るという、まるで刑事ドラマのような「張り込み調査」を開始した。


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