ミャンマーやネパールに学校を作った野村氏が、人材紹介会社まで設立した理由もここにある。自社グループの学校の生徒なので、それぞれの能力や気質を理解した上で責任を持って企業に紹介できるため、仕事のミスマッチが起きにくいのだ。
2027年の制度変更が人材獲得に与える影響
来日後の生活支援も吟遊詩人株式会社が引き受ける。日本に来て初めて電子レンジやIHコンロ、スーパーのセルフレジなどを使う人も多いため、その使い方など、生活する上で必要なことを教えることから始めるという。実際、吟遊詩人を介して介護分野で働くエイジアン・ユニティ卒業生の職場定着率(3年間)は100%を更新中で、非常に高い定着率だと言えるだろう。
求人がある時だけ人を集める方が効率よく収益をあげられるが、野村氏が目指すのは「いい人材にいい教育をし、日本を支えること」。この姿勢を理解し、共感する介護施設や企業が、同社に求人を出すというわけだ。
大切に育てた生徒を自分たちで紹介することで、生徒にとっても介護施設にとっても適正な価格のやり取りができる。それは、「皺寄せを外国に与えない」ことでもあるが、そこには野村氏のこんな思いがある。
「私もミャンマーやネパールに住んでいますが、『住まわせてもらっている』と感じています。だからこそ、ミャンマーの人やネパールの人が日本に行った時、幸せになる機会を作りたいと思うのです」
同校の卒業生の中には、人材を投資と捉える日本企業で能力を発揮し、幹部候補になった例もあるという。
「ある子は飲食分野の特定技能で来日し、飲食店の店長からエリアマネージャーになりました。その子が優秀だったからというより、経営者がチャンスを与え、その期待に応えたということでしょう。活躍する子には、明るく元気で、日本人とコミュニケーションを取りながらチャレンジするという共通点があります。そういう子にチャンスを与えれば、会社の戦力になってくれるのです」
技能実習制度は2027年から育成就労制度になる。つまり「日本の技能や技術、知識を開発途上国に移転する国際貢献」から、人手不足の日本の「人材育成と人材確保」が目的の制度に変わるのだ。技能実習制度では3年間は実習先(職場)を変えることが原則としてできなかったが、育成就労制度では一定の要件を満たせば職場を変わることも可能になる。外国人材を受け入れる側も「選ばれる職場」になることが必要だろう。
「外国人を採用する制度と日本人を採用する制度には違いがありますが、働き手として分け隔てなく接していただければと思います。また、日本人はつい『言わなくてもわかるはず』と思ってしまいがち。しかし、『頑張れば給料を上げるよ』と言われても、外国の方はどこまで頑張ればいいのかわからず、客観的な物差しで判断したいと考えます。異国から来ている人たちには、具体的に指示をすることが大切です。具体的に説明すれば、頑張ってくれると思います」
日本の高齢化社会は今後さらに加速し(※D)、介護人材の重要性もますます高まると見られる。そんな日本の介護現場を担ってくれる外国人材への育成と投資は、欠かせないものとなりそうだ。


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