ここまできめ細やかに指導する学校は珍しいと言えるが、そこにあるのは「ここを巣立った後に、生徒が現場で働きやすいように」という思いだ。日本から求人が来た際も、希望する生徒の中から面接を受けられるのは、日本語や専門技能、そして日本で働くためのスキルが整った生徒だけと徹底している。「生徒たちのために」という校長や教員の熱血ぶりは、いい意味で昭和の学校を思い起こさせる。
ミャンマーでも厳しいと有名な同校では、男女ともに10代から40代まで幅広い生徒が学んでいる。介護に限らず、物流や製造業、外食産業など目指す業界も幅広い。「小さい頃から日本のアニメが好きで日本に興味を持ち、日本語を学ぶようになった」(18歳女性)、「私が日本に行っていい仕事につき、家族を支えたい」(44歳の男性)など、思いもそれぞれだ。
ミャンマーは軍事政権下にあり、現在も地域によっては内戦が続き、家を失った人もいる。こうした中、「家族を支えるために」と日本で働くことを目指す人も多いという。
エイジアン・ユニティは2024年にネパール校を設立し、ミャンマー校・ネパール校から介護職だけで143名を日本に送り出してきた。設立者の野村幸憲氏はもともと旅行業に携わっており、6カ国で現地法人を設立し、日本語ガイドを含むスタッフを育てた経験を持つ。
その野村氏は、2013年にミャンマー進出企業のコンサルティング事業を行うため、ミャンマーで起業。付き合いのある企業から「ミャンマー人スタッフを育ててもらえないか」と依頼され、日本語教育などを開始した。「来年もよろしく」と頼まれ、その数も増えたことから、2016年に本格的に学校を設立。自社で海外に送り出しをするため、2018年に送り出し機関としてミャンマー政府の認可を受けた。
2025年には吟遊詩人株式会社を設立。同社は有料職業紹介事業許可を受けるとともに、特定技能外国人の支援を行う登録支援機関にもなっている。会社を設立したのは、「いい人材にいい教育をして、日本を支えるため」と野村氏は話す。大切に育てた生徒を日本に送り出し、来日後も母校の先生が母国語で継続的にフォローし、現場での成長を促す。生徒にとっても介護現場にとってもよい「三方よし」の具現化だ。
国も後押し、外国人介護人材が戦力に
日本の介護業界は人手不足だ。2026年度で約240万人、2040年には272万人の介護職員が必要とされているが、足元の介護職員数は215万人と隔たりがある(※1)。


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