四点杖やポータブルトイレ、オムツ、車椅子など、日本の介護の現場では当たり前に使われていても、ミャンマーの人には馴染みのないものも多い。そこで、実習などで使い方を学んでおくのだという。この時は女性の生徒が二人、床に段差を作り、車椅子で乗り越える練習をしていた。
エイジアン・ユニティの特徴は日本語や専門分野だけでなく、日本の文化や生活習慣、職場のマナー、コミュニケーションまで、きめ細かく教えていること。朝と夕方に行う校内の掃除もその一つ。掃除用具置き場には掃除用具の隣に、布巾が丁寧に干してあり、用途別に日本語でだいふき、雑巾、ガラスふき、したふきん(床を拭く雑巾)と書かれている。
「ミャンマーの人は日本ほど頻繁に掃除をする習慣がありません。そのため、掃除と合わせて『使った道具を同じ場所に戻す』という習慣づけも行っています」
校舎を進むと、教室では習熟度別の日本語の授業が行われていた。特定技能1号や技能実習生には、日本語能力試験のN4「基本的な日本語を理解することができる」レベルの日本語能力が求められる。だが、ここでは1つ下のN5「基本的な日本語をある程度理解することができる」レベルから、上級のN2「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルまでの授業が行われている。
加えて、生徒たちは毎日、日本語で日誌を書き、提出する。介護の現場では「日誌などを書く」「同僚や利用者と話す」能力が求められるためだ。最初は何時間もかかって書いていた生徒も、繰り返すうちにスラスラ書けるようになっていくという。100人の生徒が毎日提出する日誌に目を通すのも、寺本氏の仕事だ。
「先生に質問するのは失礼だ」という価値観
エイジアン・ユニティは日本語学校ではなく、「日本で働くために必要な力を養うための学校」だ。そのため、文化の違いを踏まえて指導を行う。
「ミャンマーには『先生に質問するのは失礼だ』という価値観があり、質問することに慣れていません。そこで、質問することの大切さを伝えています。また、ミャンマーは挨拶をする習慣があまりないため、日本人が何度も挨拶をするのが不思議なようです。そこで、『人の心を開くには笑顔が大事なんだよ』と伝え、目を合わせて挨拶をするよう、指導しています」


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