今回の金利上昇局面では、長期金利よりも短期金利の変動幅が小さく、住宅ローンも固定金利の上げ幅のほうが変動金利より大きくなっている。参考までに、日銀が公表している2001年以降の短プラと長プラについて、期間中の最高値と最低値の差を単純比較すると、長プラの変動幅は短プラの2.35倍となっている(短プラは最頻値、2026年8月12日時点)。こうした違いもあり、現在では変動金利が1%前後、固定金利が3.5%前後と、2.5%ほどの差が開いている。
また、住宅ローンは、対象となる住宅や土地を担保とするため、無担保ローンに比べて貸し倒れ(回収不能)のリスクが抑えられ、低い金利が設定されやすい。
個人にとって、自宅の住宅ローンは最大の借入になることが多い。一方、銀行にとっても、新規顧客と長期的な取引関係を築くための重要な商品である。競争が激しいだけに、各行がギリギリまで金利を引き下げる競争を続けており、新規借入時の変動金利は低く設定されやすい。
実際、ネット銀行の中には、住宅ローンを収益の柱の一つとしているところもある。住宅ローンを貸し出す際に発生する事務手数料(融資額の2.2%など)も、銀行の収益源になっている。一方、メガバンクなどには、保証会社による保証によって銀行本体の貸し倒れリスクを抑えている商品もある。
まとめると、担保や保証、事務手数料収入、金融機関間の競争が、変動金利が低く抑えられる背景にある。このため、固定金利ほど変動金利は上がりにくいと私は考えている。
シミュレーションをしてみると…
それでは、最初の質問を踏まえ、毎年0.5%ずつ変動金利が上がったとしよう。その際の変動と固定で利息総額はどうなるかをシミュレーションしてみる。
ちなみに、変動金利(元利均等返済)には5年ルールや125%ルールがある場合がある。5年ルールとは、金利が途中で上昇しても、5年間は毎月の返済額を一定に据え置くというもので、125%ルールとは返済額を見直す際、前の返済額の1.25倍までしか上げないという上限ルールだ。これはすべての銀行がそうしているわけではないが、多くの銀行が採用している。
そこで、変動と固定の金利はどちらが得か計算してみよう。借入額は1億円、返済方法は元利均等返済とし、借入期間は変動と固定で同じとする。変動金利は5年ルール・125%ルールのケースを採用する。変動金利は1%から毎年0.5%ずつ金利を上げ、固定金利は3.5%の固定とする。


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