ここで強調したいのは、「検査で異常がない」という結果は、決して「あなたは完全に健康です」という意味ではないということです。
あなたが実際に感じている体のつらさや不調は、紛れもなく「本物」です。
「気のせい」でもなければ、「怠けている」わけでもありません。
あなたの体は、目に見えない形で、確かにSOSサインを発しています。
「目に見えない不調」を包括的に捉える動き
本稿では「機能性障害」というシンプルな言葉を使っていますが、この概念の背景にある医学の動きについて、少し触れておきます。
これまで、機能性障害に関わる病気は各専門科がそれぞれの病名で対応してきました。
お腹の不調なら「過敏性腸症候群(IBS)」や「機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)」。
原因不明の全身の痛みなら「線維筋痛症」。取れない疲れなら「慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)」。ほかにも「起立性調節障害」「月経前症候群(PMS)」「更年期障害」「顎関節症」「過換気症候群」などがあります。
いずれも、機能的な乱れ――自律神経やホルモンの乱れ――が症状に深く関わっています。
この中に、あなたが診断を受けたことのある病名はないでしょうか。
あるいは、いくつもの科を渡り歩いた経験はないでしょうか。
医学の世界でも、これらを専門科の壁を越えてまとめて捉えようという動きが進んでいます。「機能性身体症候群(FSS:Functional Somatic Syndromes)」という概念がそれです。


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